ヘッドラインにはならないものの、見落とせないニュースが配信されている。AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)に臨んでいる柏レイソルに関するものだ。

 9月25日(水)にホームで、10月2日(水)にアウェイで広州恒大(中国)とACL準決勝を戦うレイソルは、9月28日(土)のJ1リーグ27節の順延を要請したという。新潟をホームに迎えるこの一戦の先送りが認められれば、中6日でACL第2戦を迎えることができる。柏へ乗り込んできた広州恒大は、前週末の国内リーグが延期されていた。
 
 選手のコンディションを考えれば、レイソル側の要請はもっともだ。しかし、リーグ側の了承は得られなかった。
 
 すでにチケットは売り出されている。ファン・サポーターにはそれぞれに都合もあるだろうが、勝利の可能性を高めるための措置である。きちんと説明を尽くせば、理解を得ることはできるはずだ。
 
 テレビ放映も決まっているが、今回の新潟戦は大一番ではない。優勝、残留、降格などが決まるゲームではないし、生中継をするのは「スカパー!」だ。地上波に比べれば、柔軟な対応が期待できる。
 
 ましてや新潟戦は、レイソルのホームゲームだ。順延に伴う事務的、実務的な作業を、相手チームに負担させることにはならない。各方面の調整が必要だとしても、それほどハードルが高いとは思えないのである。
 
 J1リーグの2ステージ制決定に至るプロセスでも感じたことだが、リーグ側は何を最優先に考えているのだろう? 
 
 ACLでベスト4入りを果たすのは、2009年の名古屋グランパス以来だ。韓国勢にすっかり主役を奪われ、中国勢の突き上げも激しいなかで、レイソルは久しぶりに「Jリーグの存在感」を発揮している。
 
 彼らへの支援は、リーグ全体の利益につながる。ACLにおける権威を回復すれば、このところ力を注いでいるアジアでの放映網拡大の追い風となる。かりにKリーグ(韓国)やCリーグ(中国)との競合になれば、ACLでの上位進出はセールスポイントだ。Jリーグにおいては、レイソルが絡んだゲームの注目度も高まるに違いない。

 日本サッカー協会とJリーグは、「ACLサポートプロジェクト」を立ち上げ、財政と運営の両面で出場クラブを支援している。それによって選手の負担が軽減されているところもあるが、今回のホームゲームではより直接的な支援があって良かった。

 過密日程を乗り越えて勝ち上がれ、という視点もある。ただ、ACLを制してクラブワールドカップに出場すれば、よりハイレベルゲームを経験できることになる。
クラブワールドカップで体感する〈世界〉は、ACLをはるかに上回るのは明らかだ。ACLを勝ち抜くためのサポートを最優先すれば、違った答えに辿り着けたはずである。