レビュー:Google Nexus 7(2013) 試用レポート(前編)
前モデルに相当するNexus 7(2012)の国内発売は2012年10月25日。後継機 Nexus 7(2013)は、2013年8月28日に発売開始となりました。すでにLTE対応モデルの出荷も始まっていますが、最もベーシックな16GB/Wi-Fiモデルを2回に分けてご紹介します。
前編の今回は、前モデル Nexus 7 (2012) からの変更点を含めた仕様と本体解説、セットアップ編です。
パワーアップしてスリムになった2013年型
去年、7型タブレットの火付け役となったNexus 7(2012)との違いは大小さまざまです。まず、プロセッサがNVIDIA Tegra 3(1.3GHzクアッドコア)からSnapdragon S4 Pro / APQ8064(1.5GHzクアッドコア)になりました。同時にSoC内蔵のグラフィックス(Adreno 320)もパワーアップ。発表時の資料によるとプロセッサは1.8倍、グラフィックスは4倍の性能になるようです。
ただSnapdragonは400/600/800の上位モデルがあり、他社ではNVIDIA Tegra 4もありますので、現状最高パフォーマンスと言うわけでなく、2013年のタブレットとしては平均的となるでしょうか。Nexus 7(2012)と動きを比較しても2倍近く速くなった感じではありません。
1つ興味深い話としては、Nexus 7(2013)に搭載しているSnapdragon S4 Pro / APQ8064は、一般的なそれと仕様が異なっており、Kraitコアではなく、Snapdragon 600に採用しているKrait 300コアをベースに1.5GHzへクロックダウンしたものを採用しているとのことです。同じ1.5GHzでもKraitコアとKrait 300では、消費電力やパフォーマンスに差が出ます。
Nexus 7(2013) / ME571-16Gの仕様
プロセッサ
Snapdragon S4 Pro(APQ8064) / 1.5GHz クアッドコア
メモリ
2GB
ストレージ
16GB
OS
Android 4.3
ディスプレイ
7型IPS式、1920×1200(323ppi)
ネットワーク
IEEE 802.11a/b/g/n(デュアルバンド)、Bluetooth 4.0+LE
センサー
GPS、ジャイロセンサ、加速度センサ、コンパス、磁気センサ
その他
マイク、ステレオスピーカー(サラウンド対応)、NFC、
Micro USB(SlimPort対応)、ヘッドフォン出力、
120万画素インカメラ/500万画素アウトカメラ、ワイヤレス充電(Qi)
バッテリー
3950mAh(約9〜10時間駆動)
サイズ
114×200×8.65mm(幅×奥行き×高さ)
重量
290g
価格
27800円
※太字がNexus 7(2012)から追加・変更になった部分
ディスプレイは先代と同じ7型IPS式ですが、解像度が1280×800ドット(216ppi)から1920×1200ドット(323ppi)になりました。一般的な紙の印刷物は、175線/350dpiと言われていますので、323ppiはそれとほぼ同レベルになります。またパネル自体のクオリティも向上し、色再現性が高く、驚くほどきれいです。ただし若干緑被りしていますので(個体差があるかも知れませんが)、「Screen Adjuster」アプリなど、画面の色調整を行えるツールを使って、少し赤を加えるとより自然に見えます。
メモリは1GBから2GBへと倍増。多くのアプリを同時にスムーズに動かすことができます。Wi-FiはIEEE 802.11aに加えデュアルバンドにも対応しました。Bluetoothは3.0+EDRから4.0+LEへ。500万画素のアウトカメラも搭載しています。
細かい部分では、Micro USBポートからアダプタを経由してHDMI出力できるSlimPortに対応しました。同種の規格としては MHLもありますが、MHLがHDMIに限定されているのに対して、SlimPort は VGAやDVI、DisplayPortにも対応可能で汎用性が高くなっています。
スピーカーがステレオで音質も良くなった点、ワイヤレス充電(Qi)に対応するのもうれしい改善点でしょう。
バッテリーは4325mAhから3950mAhへ減り、その分、厚みが10.45mmから8.65mmへ、重量が340gから290gへと、より薄く軽くなりました。持った感じがNexus 7(2012)と随分違い、さらに片手で扱いやすくなっています。
バッテリーの容量はやや少なくなったものの、カタログ上の駆動時間は 2012年モデルと同等。ソフトウェアによるコントロールによって長時間作動するように工夫しています。実際使った感じでは、動かすアプリのジャンルにもよりますが2〜3日程度は普通に使え、Nexus 7(2012)と比較して作動時間が短くなった印象はありません。加えてスリープ中のバッテリーの減りも少なくなっています。
残念なのは、Nexus らしく SDカードなど外部メディアに対応しない点と、16GB版のNexus 7(2012)の価格19800円(199ドル)に対して、Nexus 7(2013)は、27800円と1万円近く高くなったことです。為替レートの変化もあるとはいえ、米国での価格229ドルに対して27800円と言うのも割高です。
フロント
Nexus 7(2012)より高級な感じになりました。右上に120万画素インカメラ、ホームボタンの下にNotificationがあると点滅するLEDが埋め込まれています。下側面にMicro USB。アダプタを使ってHDMI出力などができるSlimPortに対応しています
リア
上部側面にヘッドフォン出力。リア右上に500万画素アウトカメラ、左右のメッシュの部分にスピーカー。素材は前モデルと同じマット調ですが、細かいテクスチャはなくなりました。ロゴは前モデルより大きく中央に書かれています。右側面に電源ボタン、音量±ボタン。左側面には何もありません。SDカードなど外部メディアには非対応です
付属品
パッケージがブルーベースに替わりました。付属品はUSB出力ACアダプタとUSBケーブル。ACアダプタは重量31g、入力100-240v、出力5.2v/1.35A。PCなどのUSBポートからも、時間はかかりますが充電可能です
ワイヤレス充電中
Qi(チー)対応なのでNokia Lumia用のワイヤレス充電器を使って充電できます
解像度が高くなってもNexus 7(2012)と同じ見栄え
初期設定は、素のAndroid 4.3なので特殊な部分はありません。使用言語を選択し、Wi-Fiを設定、Googleアカウントを設定、ログインして、所有者の名前など入力すれば完了です。入力は10キーになります。この段階ではQWERTYキーへの変更はできません(もちろん初期設定後は変更可能です)。
Welcome / ようこそ / Googleアカウントをお持ちですか?
Googleサービスの「バックアップ/以前にGoogleアカウントにバックアップしていたアプリや設定などの...」にチェックを入れると、このNexus 7(2013)に同等の環境を引継ぎます。今回はNexus 7(2012)がその対象です。但し、ホーム画面のショートカットやウィジェットの配置などは復元されませんので手動で再設定する必要があります。
左からログイン画面、ログイン中、Googleサービス
同じく左から、このタブレットの所有者、セットアップ完了、初期起動時のホーム画面
UIはタブレット用ではなく、スマフォ用のものを使用しています。5画面あるホーム画面は1と2、5画面目は未設定です。3画面目は、GoogleフォルダーとPlayストアを配置しています。Googleフォルダーには、Playミュージック、Playブックス、Playムービー、Playムービー、Google+、Keep、ドライブ、カレンダー、カレント、ギャラリーが並びます。
お気づきかも知れませんが、解像度が高くなっても、画面上に表示するアイコンのサイズや文字の大きさは、Nexus 7(2012)と同じです。同サイズになる様、自動的にスケーリングしています。
クラウドを使ったメモアプリ、Google Keepは少し前に単独でリリースされていましたが、Android 4.3で標準アプリになりました。ウィジェットにも対応し、ホーム画面から気軽に閲覧/書込みができます。
左からホーム画面、Googleフォルダーを開いたところ、ホーム画面
インストール済みのアプリは、カメラ、カレンダー、カレント、ギャラリー、ダウンロード、ドライブ、ハングアウト、マップ、メール、メッセンジャー、音声検索、時計、電卓、連絡帳、Chrome、Earth、Gmail、Google検索、Google+、Google設定、Keep、Playゲーム、Playストア、Playブックス、Playミュージック、Playムービー、YouTube。これらは、Nexus 7(2012)をAndroid 4.3へアップデートした時と全く同じです。
初期設定も終わって直ぐに使える環境なのですが、いきなり、ハングアウト、マップ、Chrome、カレンダー、Earth、Keep、Google Pinyin Input、Playブックス、Playムービー、Playミュージック、Google+、Google検索、YouTubeにアップデートがかかりました。
特にYouTubeは、アイコンがロゴをベースにしたものから、再生ボタンをイメージしたものへと変更となり(画面キャプチャ、右の一番下)、再生しながら他の動画を探すことができるなど、大幅に機能が強化されています。
アプリ画面、アップデート画面(中央と右)
Androidのバージョンは4.3、ビルドJSS15J。ストレージは16GBモデルで合計11.94GB、空き11.04GB(画面キャプチャが若干含まれています)となります。ビルドJSS15Jではタッチの反応に問題があったらしく、その対応としてのシステムアップデートが出ています。適応後のバージョンは4.3のままビルドがJSS15Qになります。
タブレット情報、ストレージ、Android 4.3 System Update
以上、前編ではNexus 7(2012)とNexus 7(2013)のハードウェア的な違いや初期設定など、導入部を主にご紹介しました。後半では、設定やウィジェット、カメラなど導入部の積み残し、ベンチマークテスト、使用感や互換性などについて書きたいと思います。