３．１１から２年。「本当の復興」を目指して〜大槌新聞
震災が起きたとき、高田由貴子さん（３８歳）は隣町の釜石市にいた。生まれ育った大槌町（おおつちちょう）が心配でならない。緊急時にあって、自分の中にある故郷への愛情を強く感じたという。
震災後は大槌町役場の臨時職員を務め、地元の一般社団法人「おらが大槌夢広場」に移り、２０１２年６月に２ページの地元新聞『大槌新聞』を創刊。編集ソフトやデジカメを駆使して記事制作から配布まですべての作業をひとりで行なった。
「全国紙や岩手県の新聞からようやく地元の情報を得るという、震災後の環境に抵抗がありました。地元の人に何より大事な住居区の移転の話とか、土地の売り買いの価格とか、そうした生活再建情報を第一義にしています」と高田さん。部数３０００部のうち、約２０００部は仮設住宅の住民に無料で配布しているという。
高田さんは、大槌は良くも悪くも全国のお手本となれるはずと語る。
「観光で大槌を訪れる人には、被災地の大変さよりも復興の過程を見てほしい。高齢化・人口流出・福祉サービスの縮小など、ここにあるのは全国の地方自治体が抱える共通の問題。大槌がゼロの状態からどう立ち直るのか見てほしいですね！」
＊「大槌新聞」は毎週月曜発行。４月から４ページになり定期購読も可能 （問）ＴＥＬ０１９３−５５−５１２０
（取材・文／長谷川博一、撮影／野田雅也）
