チベット医学で貧困地域の農民も収入増の“ご利益”=甘粛
甘粛省甘南チベット族自治州のダンバジャンツォ(中国語表記は丹巴尖措)さんはチベット仏教・ゲルク派の僧侶だ。専門はチベット医学。2004年には〓加曼寺チベット医学院を設立した。甘粛省外からも治療を求めて訪れる患者がいる。医学院の周辺では、チベット医学が用いる薬草栽培が盛んになり、貧困に苦しんできた地元に現金収入をもたらしている。中国新聞社が報じた。(〓は「上」の下に「下」を組み合わせる)
ダンバジャンツォさんは1961年に甘粛省で生まれた。幼い頃から医学に興味を持ち、チベット医学の伝承者に師事したという。1980年には出家して、医学僧となった。
名医として評判になり、2004年には〓加曼寺チベット医学院を設立した。甘粛省内はもちろん、青海省、四川省、さらに全国各地から患者が訪れるようになった。
医学院の周辺は半農半牧地域で、農民1人当りの農作業による年収は400−500元だった。現在では薬草の栽培で、1ヘクタール当り3万7500元(約4万9000円)程度の収入を得ることができるという。
◆解説◆********** チベット医学は、インド医学のアーユル・ベーダの系統に属し、中国医学(漢方医学)とは体系が異なる。西洋医学でも中国医学でも治療が難しい病気に対してよい効果が得られる場合があとして、注目されている。
甘粛省で活躍するチベット医学僧のひとりによると、経験ある医師(医学僧)と師弟関係を結び長年にわたり修行をつめば、医学大学などで勉強をした者よりも格段にレベルが高くなる。医学大学の専門家が教えを請いに来ることもあるという。
アーユル・ベーダとチベット医学の主な違いは、地域の関係もあり使う/使える薬草の一部が異なる点だ。チベット医学は仏教とともにモンゴル地域に伝わった。使える薬草も一部入れ替わり、大草原で遊牧を行う人々が使いやすいように薬の形態を研究した結果、モンゴル医学が誕生することになった。(編集担当:如月隼人)