■プレーオフ導入に伴い今季のJ2は過密日程に

2012年のJ2ではJ1昇格プレーオフが導入される。J2は2009年から上位3位までに入れば自動的にJ1に昇格することができたが、今季はその自動昇格枠が2つに減る。残りの一枠を今季導入されるJ1昇格プレーオフで争う。これはイングランド2部のプレーオフ制度がモデルだという。昨年12月19日のJリーグのリリースによれば大会の開催概要は次のとおりだ。

まず、3位対6位、4位対5位による準決勝を行い、勝者同士による決勝を中立地で開催する。この勝利チームがJ1へ昇格する。なお、準決勝も決勝も90分戦って引き分けの場合、リーグ戦の年間順位で上位チームが勝利扱いとなる。

例年3位と6位とでは年間リーグ戦の勝点に10差以上あるケースがほとんどだ。長いリーグ戦を戦ったあとの一発勝負で、3位チームのアドバンテージがホームであることと、引き分けで良いこと、たったこれだけというレギュレーションに異論の声もあるが、筆者の立場を明確に示せばJ1昇格プレーオフの導入には賛成。導入の目的のひとつにはJ2の活性化があり、このポストシーズンに向けた戦いはまず間違いなく盛り上がるだろう。

今年開催してみて修正すべき点を修正していけばいいのだ。昨季のJ2に当てはめてみれば、最後の最後まで大混戦という稀なシーズンではあったが、最終節を迎えた時点で10位だった草津まで6位に滑り込むチャンスがあった。さらに今季は22チームとなりJFLとの入れ替え戦が開催される可能性もあるため、J2下位チームも含めてほとんどのチームが最後まで消化試合にならないことは活性化という意味でプラスだ。

■プレーオフ参加要件に明記された「J1ライセンス」

なお、既に発表されたJ1昇格プレーオフの開催日程は、準決勝が11月18日(日)、決勝が11月25日(日)。今季J2は22チームの全42節となり、それに伴って全日程を3月上旬から11月上旬まで、例年より一月近く短縮された期間でリーグ戦を開催する。当然、週の中日での開催がかなり増えるため、今季は、全51節で中2日や中3日での試合が当たり前だった2009年シーズン並みの過密日程になりそうだ。もし先日の天皇杯でJ2京都が優勝してACLの出場権を獲得していたら京都はどんなシーズンになっていただろうか。

また、J1ライセンスが付与されないチームにJ1昇格プレーオフに参加する権利はない。リーグ戦を終えた時点で、3位から6位までのいずれかのチームにJ1ライセンスが付与されない場合、当該チームを除くチーム同士の争いでJ1昇格チームを決定する。もしJ1ライセンスを付与されたチームが4チーム中1チームのみだった場合、当該チームがJ1へ自動昇格するという。この場合でも、リーグ戦の年間順位7位以下の繰り上げ出場はない(詳細は文末のリンクを参照してほしい)。

J1ライセンスとは、J2クラブを財務面やハード面などから厳しく審査した上で付与されるものだ。債務超過であったり、J1基準のスタジアム要件(固定の椅子席で1万5千席など)を満たしていないクラブはJ1ライセンスが付与されない。昨季でいえば、大分や水戸は債務超過のためにJ1へ昇格する権利がなかった。ギラヴァンツ北九州は昨季大躍進の8位フィニッシュを果たしたが、シーズン半ばになってもスタジアムの改修工事に目途が立たず、新スタジアム建設の話題に右往左往し、一時5位まで浮上したものの結果的に昇格の機運に水を差した。


■求められる経営面やハード面の向上

Jリーグによれば、J1昇格プレーオフの導入は、より多くのJ2クラブがJ1昇格という目標を具体的に持つことで、経営面やハード面の強化・整備に対する意識を高く持ってもらうという狙いがある。これまでJ2は降格がなかったため、終盤戦は特に下位チームの盛り上がりに欠けた。クラブの環境面に目を移せば、JFLのアマチュアクラブに劣ると言われても仕方がないJ2クラブが存在し、現状を打破しようとする活力も見えない。