インターネット上で呼びかけられた「フジテレビ韓流ゴリ押し・偏向報道抗議デモ」の開催日である8月21日の正午過ぎ。集合場所のお台場・青海北ふ頭公園海上デッキ周辺は、夏休みの日曜日とは思えないほど異様な雰囲気に包まれていた。

 国旗を持った人、日の丸のハチマキをしている人……。一見すると、サッカーの日本代表戦が行なわれるスタジアムのようだ。唯一違ったのは、声援ではなく、批判の声が上がっていたことだった。

「フジテレビの最近の放送姿勢は本当にヒドイ。聴きたくもないK-POPをやたらと流すし、韓国グルメの特集も激増しているでしょ? 公共の電波で偏った情報をタレ流すのはホントにおかしいですよ」(30歳・会社員)

 このデモに参加するために大阪から夜行バスで来たという女性もこう話す。

「“高岡先生”のおっしゃるとおり、フジテレビは韓国のテレビ局かと思うくらい韓流情報を放送しまくっています。もういいかげんやめてほしい」

 ちなみに高岡先生とは、韓流偏向への抗議の火つけ役ともなった俳優・高岡蒼甫のことである。ただ、なかには単に大騒ぎしたいだけという人の姿も。

「一度でいいから、シュプレヒコールを上げてみたかったんですよね。韓流が嫌いかって? いや、正直、KARAの大ファンです(笑)」(10代・女子大生)

 デモ行進がスタートしたのは13時半。「フジテレビは偏向報道をやめろ〜!」「フジテレビは韓流ブームを捏造するな〜」「われわれは韓国ドラマなんて見たくないぞ〜」などとシュプレヒコールを上げながら、フジテレビ周辺を約1時間かけて行進した。その様子を、苦笑いを浮かべながら眺ながめていたフジテレビの若手局員が話す。

「デモがあるのは知っていましたけど、まさかあそこまでの人数が集まるとは……。局内では前日に『デモ中に外出する際は、社員証を首から下げないように』というお達しがありました。最初は大げさすぎるだろと思っていたんですが……。念のために社員証を外しておいて正解でした」

 主催者によると、このデモの参加者は約8000人。行進を終えた後に参加者同士でハイタッチするなど、全体的にネット主導のお祭り騒ぎという感じだった。だが、16時過ぎに始まった2回目のデモは、かなりの“本気モード”。というのも、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が会長を務める市民団体「頑張れ日本!全国行動委員会」が中心となっていたからだ。

 参加者には国旗や抗議文の書かれたボードが配られる徹底ぶりで、主張も明らかに過激になっていた。このデモには約5000人(主催者発表)が参加したというが、ごく一部からは「『売国奴』『洗脳放送』といった言葉も飛び交っていて、気軽に参加するにはちょっと本気すぎましたね(苦笑)」(20 代・会社員)という戸惑いの声も聞こえた。

 デモ終了後、局前まで押しかけた田母神氏は、フジテレビ側に抗議文を直接手渡すことにも成功。果たして、この一連のデモ行進はフジテレビ側にどんなダメージを与えたのか?

「10月から日曜21時の枠で、韓流女優のキム・テヒが主演する新ドラマ『僕とスターの99日』がスタートするのですが、もともと別のタイトルがつけられていたんです。それは、『彼女はコリアンスター』というもの。あまりに露骨すぎるということで、急遽、変更したという話ですね」(前出・若手局員)

 もともと局内では“韓流ゴリ押し”に対して賛否両論があったという。

「これまで反対派の意見は黙殺されてきましたが、今は特にバラエティ番組で『安易に韓流モノを扱わないようにしよう』という風潮になってきました。とはいえ、人気コンテンツであることも間違いない。うまくバランスをとりつつ、韓流ブームを推進していくということ。再びあの規模のデモが起きたらたまりませんからね」(若手局員)

 フジテレビに対する抗議活動は、これで鎮静化するのか、はたまた、さらに激化していくのか。今後も注目だ。


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