東京・お台場でのデモの様子

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 「韓流偏重」などフジテレビの放送が偏向しているとして抗議するデモが2011年8月21日、同社がある東京・お台場で行われた。インターネット上の呼びかけに応じた数千人の参加者が集まり、フジテレビに対して抗議の声を上げた。

 集合時間の午後1時になると、出発地点のお台場・青海北ふ頭公園は大勢の人で埋め尽くされた。公園では「Get Back Japan」と記された500円玉ぐらいの大きさのバッジが参加者に配られたが、用意された1600個は間もなく底をついた。予想以上の参加者の数に「ここまで来るとは思ってなかった」とデモを企画した「フジテレビ抗議デモ実行委員会」のメンバーも驚きを隠せない様子だった。

 デモ行進が始まると、拡声器をもった先導役にしたがって、参加者たちは「フジテレビは韓流をゴリ押しするな」「フジテレビは放送免許を返上しろ」などのシュプレヒコールをあげながら、フジテレビに向かって行進した。先頭には「金の亡者フジテレビから公共の電波を取り返そう!」と大書された横断幕。隊列の中には、日の丸や「韓国ドラマより日本のドラマが観たい!!」「韓流ゴリ押しにNO!」といったプラカードをもった人も多数みられた。

 実行委員会によると、参加者は出発時点で4000名を超えており、デモ行進中も次々と飛び入り参加する人たちが加わり、最終的には約6000人に膨らんだという。(警視庁湾岸署の調べでは、出発時の参加者は3400人とのことだった――2011年8月22日10時23分追記)

 デモを率いた実行委員会は、インターネットの掲示板サイト「2ちゃんねる」を中心に情報交換を行いながら、フジテレビの放送姿勢に疑念を抱いている人たちが集まって組織された。8名のコアメンバーを中心として、警備班、救護班、誘導班など56名のスタッフが運営に携わった。スタッフは、会社経営者、サラリーマン、OL、主婦、学生など様々な立場の人たちによって構成されている。

 実行委員会の児玉健二代表は、デモ前日に行われたミーティングで「デモを通して、フジテレビの偏向報道に気づいていない人が一人でも気づいてくれればいい」と、デモへの意気込みを語った。副代表の相沢さんは「僕らを含めて、おそらく来られる方も一般人だと思います。普通にお勤めして、普通に家庭を持って、これまで政治活動をしてきたこともないという、何の思想も持たないノンポリの一般国民がフジテレビはおかしいと思って、これだけの人数が集まったということを伝えたい」と述べた。

 デモの当日、行進に加わった鈴木隆仁さん(21)は、参加した理由について「フジは日本を貶める報道をしている。メディアの役割はすべてに中立な立場で情報を発することなのに、フジテレビはその義務を負えていないということに憤りを覚えて参加しました」と述べた。鹿児島から来たという住職の白鳥浄之さん(43)は、フジテレビに対して「偏った報道によって、世論を間違った方向に、国民を扇動している」と話した。

 一方、フジテレビの本社前でデモに遭遇した人々からは冷ややかな声も聞かれた。お台場に遊びに来ていたルーマニア人のエレナさん(33)は、デモ行進に対して「おかしい」と批判的な見方を示し、「アメリカの映画やドラマもたくさん放送されているのに、なぜ韓国だけ批判するのか」と疑問を呈した。フジテレビ主催のイベント「お台場合衆国」に来ていた栃木県在住の女性(21)は、「デモを起こしても何が変わるのか」と怪訝そうな表情を浮かべていた。

(三好尚紀、水田昌男

◇関連サイト
・フジテレビ抗議デモ(2011年8月21日) - ニコニコニュースちゃんねる
http://www.nicovideo.jp/watch/1313941167