アメリカ期待のエコカー「シボレー ボルト」、結構スゴイヤツかもしれない[国沢光宏 コラム]【特集・コラム:ビジネス・経済】
トヨタのプラグインハイブリッドや日産のEVよりスゴイのか!?
今週は専門的になるけれど、やがて間違いなく大きな話題になる新型車の詳細が判明したというビッグニュースである。クルマギョウカイの情報をいち早く知りたいという諸兄は、ぜひとも理解できるまで読み返して頂きたく。個人的にも相当「ヘぇ〜? そうだったの!」と思った次第。
トヨタ プリウスや日産 リーフの対抗馬としてGMが開発をすすめている『シボレー ボルト』だけれど、年内発売予定にも関わらず肝心の駆動系を公表しておらず。電気自動車かハイブリッドかも不明だったほど。
しかし! ついに詳細を発表してきた。全く想像していなかったシステムでございます。
ところが詳細を読んで「インチキじゃね?」。ボルトのボディサイズはプリウス級。そいつに三菱i-MiEVと同じ16kWhのバッテリーを搭載している。満充電すると64km走れるそうな。バッテリー残量少なくなると、発電用の1.4リッターガソリンエンジンを回して18km走ったという。テスト時の総走行距離82km。この間のガソリン消費量は0.83L。83÷0.83で98km。こらおかしいでしょう。だったら電気自動車として航続距離64km+ガソリンだけで走った時の燃費である21.7km/Lを別個に表示すべき。ここで皆さんボルトを「愚なクルマ」と報じた。
ガソリンエンジン車としても望外の低燃費
されど私は違う。ガソリンのみで走った時の燃費である21.7km/Lという数字、驚くほど良い。プリウスですら22km/Lなのだ。仮に発電機を回して電気を造り、そいつを使ってモーター駆動したら絶対21.7km/Lも走れないハズ。何か重要なことを隠していると思ってました。
ちなみにエンジンで作ったエネルギーを100とすれば、プリウスのようにギアで駆動すると95%程度の効率になる。しかし発電機−インバータで変換−さらにモーターを駆動させると、1行程95%の効率として85%に落ちてしまう。プリウスが22km/Lなら単純計算で19.5km/Lです。
長い前置きになった。公表された資料を見てビックリ! 電気自動車に発電機を搭載するという『レンジエクステンダー』タイプのハイブリッドじゃなく、バッテリー容量が減るとプリウスと同じくエンジンで直接タイヤを駆動するギアボックス(遊星歯車式)も持っていたのである。
つまり64kmまでは電気自動車として走り、その後はギア介してエンジンで直接タイヤ駆動して走るというもの。バッテリーの搭載量を減らせば、トヨタがアメリカで勝負を仕掛けようとしているプラグイン プリウスとガチになる。強力なライバルになるか評判倒れか? 今後の情報に注目したい。