平成20年度版「自殺対策白書」によると、平成19年度の自殺者は、3万3093人。これで、11年連続の、3万人超え。この状況を、「不可視の内戦」のようなものだと言ったのは、作家の辺見庸さんである。見えないところで、日本には、内戦を超える戦いが繰り広げられている。

簡単に、平成20年度版「自殺対策白書」を要約しておく・・・。

ここ10年で30万人を越える日本の自殺者。
イラク戦争で亡くなった米兵はおよそ3500人(2003年3月〜2007年5月)。日本の自殺者数は1年間でその10倍にのぼる。そのイラク戦争で亡くなったイラク民間人は2003年の開戦以来、ことし6月までの5年間に最多推計で約92000人である。内戦で否応なしに出る死亡者の数十倍もの自殺者が、日本には存在する。

自殺者数は、男性が女性の2.5倍。
平成19年の自殺者総数は前年から938人増加して33,093人。男性は前年から665人増加して23,478人。女性は前年から273人増加して9,615人となっている。男性の方が、女性より2.5倍ほど、自殺者数が多い。

そのうち、原因・動機の特定できているのは、2万3,209人(70.1%)。「健康問題」1万4,684人(63.3%)と最も多く、次いで「経済・生活問題」7,318人(31.5%)。次いで「家庭問題」3,751人(16.2%)が占めている。

ちなみに、日本の自殺率(平成16年〜19年平均)を県別で見てみると、上位5県はこうなる。
秋田県→41.6
山梨県→41.5
青森県→36.7
岩手県→36.6
島根県→35.7
地方ばかりだ。
経済学者や医師、NPOなどでつくる「自殺実態解析プロジェクトチーム」によれば、平成16年〜18年年の自殺者のうち被雇用者は24,208人。警察署別に、詳細な地区で見てみると、愛知・豊田、山梨・富士吉田、福岡・筑紫野、北海道・苫小牧など重層下請け構造が存在する地域に自殺者が多く、長時間労働、24時間交替制、人員整理などが要因と推測されると分析している。


自殺者の大半は、自宅を死に場所に選ぶ。

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