有名企業でもない限り、採用とは求職者を選ぶ場でなく、「選ばれる場」。
給与や福利厚生を訴えても、優秀な人材は採用できません。
入社後に本人が活躍できる環境も大切。
いくらキレイに見せかけても、
求職者は社内の状況を敏感に嗅ぎ取るもの。
採用力=企業力なのです。


「オグラさん。今、現場は人が足りなくてヒィヒィ言ってます」

プロジェクト会議終了後、営業部長が話しかけてきました。

「採用も大切だけど、相変わらず離職率がひどい。採用してもドンドン辞めていくから一向に楽にならない。どうすれば離職率が下がるんでしょう?」

すぐにピンと来た私は、あえて答えを教えずに部長に質問をすることに。

「なぜ人が辞めると思いますか?」

「うーん…。ウチはよそほど給料が高くないし、肉体的にもしんどいですからねぇ」

「ホントにそれだけでしょうか?」

意地悪に尋ねる私に、部長は答えます。

「え?どういう意味ですか?」

私は、かつて在籍していたリクルート社が調査した『離職者の退職理由データ』に基づいて解説することにしました。
それによると『建前』の退職理由では『キャリアアップ』が第一位。しかし『ホンネ』の理由第一位は、なんと『上司との人間関係』と出たのです。私は部長に、心当たりはないかと質問してみました。すると…。

「大いにあります」

離職率を下げる、という課題は従業員満足(Employee Satisfaction)の改善に直結します。つまり、あらゆる事柄を変えなくてはならない。
つまり、これだけを行えば離職率が下がる、といった魔法の秘策はないのです。
それらを踏まえた上で、あえて実効性の高い施策をあげるなら、上司と部下の人間関係=信頼関係の改善に力を注ぐことが最も効果的だと言えます。
しかし、これが一番難しい。なぜなら、信頼関係はスキルやテクニックで築くものではなく、上司力=人間力を高めるという壮大なテーマと深く繋がっているからです。


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