スペインのレアル・マドリーから、アメリカMLSのロサンゼルス・ギャラクシーに移籍することが決まったデイビッド・ベッカム。アメリカでのプレーはレアルとの契約が切れる6月以降となるが、レアルのファビオ・カペッロ監督は、「今シーズン終了までベッカムを試合で使わない」と明言。また、ラモン・カルデロン会長も、「俳優になるためにハリウッドに行くようなもの」などと批判的な発言を繰り返しており、ベッカムの立場はますます厳しい状況となりつつある。

 しかし、レアル側の辛辣な対応を受けて、ベッカムを擁護する立場を取る選手が増えている。中でも、バイエルン・ミュンヘンのMFオーウェン・ハーグリーブスは、レアル側の対応に「悪意がある」と不快感を示し、ドイツ・ワールドカップでイングランド代表としてともに戦ったベッカムの挑戦を高く評価している。

「レアルがデイビッドを2度と試合で使わないと発表したのには驚いた。こんな話は聞いたことがない。契約の最終年を迎えた選手は、1月の時点で他のクラブと契約していいと規約で決まっている。バイエルンでも、ハサン・サリハミジッチがユベントスと契約したけど、今シーズン中はまだ出場機会が与えられるはずだ。レアルが決めたことだから真相は分からないけど、少し悪意を感じるね。でも、デイビッドにとっては、新たなチャレンジだ。色んな意見があるけど、僕は最後に笑うのはデイビッドだと思っているよ」

 また、カナダ生まれのハーグリーブスは、キャリア終盤にプレーする場所として、アメリカに魅力を感じているようだ。

「デイビッドは、色んなチャレンジをしたいんだと思う。そのひとつがアメリカでのプレーだったんだろう。自分が移籍することで、MLSに大きな影響を与えられると自覚しているんだ。それに、これで他の選手も行きやすくなるから、アメリカを新天地に選ぶ選手も増えるだろう。僕は北米で育ったから、将来的にはアメリカでプレーするのもいいかもね」

 巨額の契約金など、金銭面が大きく報じられたベッカムのアメリカ移籍だが、選手からはベッカムの「新たなチャレンジ」を評価する声も多い。自らのプレーでMLSに旋風を巻き起こし、「不毛の地」と呼ばれるアメリカのサッカー界を活性化させることができれば、ベッカムの名前は長く後世に語り継がれることとなるだろう。