スキャンダル判決によりセリエBに降格した名門ユーベ(ユベントス)が16日、ついに念願の首位に立った。ユーベ・ユース2選手が練習場の池で事故死する悲劇により、延期されていたセリエB第16節ユベントス対チェゼナ戦が行われたこの日、ユーベは主将デル・ピエロの活躍もあり2−1の勝利を飾った。

主力選手の故障が相次ぐ非常事態に、クラブの象徴がチームに勝利をもたらした。13日に行われた第19節対マントバ戦、それまで12勝5分と快進撃を続けていたユーベはまさかの1−0(アウェイ)敗戦、屈辱のセリエB初黒星を喫したばかりだった。「厳しい内容だろうがなんだろうが、勝たなければならなかった」。前半17分、貴重な先制点を挙げた主将デル・ピエロはこの試合の持つ意味を誰よりも理解していた。

スキャンダル関連クラブで唯一のセリエB降格、加えて「−17p」の足枷。仲裁判決によりペナルティは「−9p」に軽減されたが、一人負けの状況は何一つ変わらなかった。再びセリエAの舞台へ・・・、イタリア一の名門ががむしゃらに結果だけを求めてきた。この日の勝利で勝ち点を「35」に伸ばしナポリと並び首位に立ったユーベ、もはや失うものなど何もないユーベだが、首位の座だけは誰にも譲れない。

佐藤 貴洋