デイビッド・ベッカム(31)のロサンゼルス・ギャラクシー移籍が決まり、ロナウド(30)もこの1月の移籍期間中での退団は決定的、とベテラン選手が去り、チームの若返りを図るレアル・マドリー。「チームのスタメンのうち7人は25際以下の選手を起用していくつもりだ」と同クラブのラモン・カルデロン会長が伝えたように、ファビオ・カペッロ監督主導でのチーム若返り計画はキャプテン、ラウル・ゴンサレス(29)にも影響を及ぼしている。

 ラウルはレアル・マドリーと2010年6月30日までの契約を結んでおり、彼が望めば契約が終了するまでプレーすることができる。しかし、同会長は「ラウルがここで100%の力が出せないようなら、留まることはかなり難しいだろう」とラウルにも厳しい発言。クラブのシンボルであるラウルも厳しい状況に立たされていると言っていい。そして、そのラウルをリベプールのラファ・ベニテス監督がレアル・マドリーでの残りの期間と同じ、つまり3年契約での獲得に動いている、とスペイン紙‘アス’が報じている。

 ラウルの代理人であるヒネス・カルバハル氏はレアル・マドリードがこの6月にラウルに対して移籍の扉を開くと決断した場合、ラウルは何の問題もなくイングランドでプレーすることができるだろうと明言し、プレミアリーグでのプレーの可能性を示唆。これはスペインのラジオ局‘カデナ・セール’の番組内で伝えられたものだ。

 ベニテス監督とラウルの関係は古く、1994年、同時監督を務めていたホルヘ・バルダーノ監督が弱冠17歳のラウルをトップチームに引き上げた時、下部チームで指揮をとっていたのがベニテス監督だった。ラウルのことなら良く知っているというわけだ。さらに、ラウルの友人であるフェルナンド・モリエンテスがリバプールでプレーしていた時にも、ラウルは家族を連れ立ってリバプールをしばしば訪れており、アンフィールドで繰り広げられるフットボールやチームの組織を知り得るのにも一役買っていると言える。

 ラウルの希望はもちろんレアル・マドリーでプレーし続けることにある。「このクラブで続けていきたい。でも、レアル・マドリーのために犠牲になる必要があるのなら、そうするつもりだ。クラブが僕に犠牲を強いるのであれば、一番可能な方法で解決することになるだろう」。過去のインタビューでもクラブへの愛情を明言しているラウル。

 ベニテス監督はこうしたラウルの置かれている状況をしっかり把握しており、信頼のおける人物を介し、ベルナベウのオフィスにコンタクトを取っているとも言われている。ラウルがゴーサインを出した場合、リバプールは獲得に動くつもりであるようだ。ラウル的にも移籍するのであれば、自分を良く知る恩師のいるクラブに行くと考えるのも当然と言える。

 レアル・マドリーで記録を作り続けることを望むラウル。つまり、レアル・マドリーがラウルの移籍を望んだ場合のみ彼がクラブ去ることになるのは間違いない。クラブのシンボル、ラウルは岐路に立たされている。

(スペイン通信)