去就が注目される大山

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 国内フリーエージェント(FA)権を行使した阪神の大山悠輔内野手(29)に対し、獲得に乗り出している巨人が最長6年間の長期契約を準備していることが15日、分かった。阪神の提示は最長5年間で総額20億円規模とみられる。FA宣言選手はこの日から、全ての球団との交渉が解禁。大山の決断が注目される。

 虎の4番を巡る阪神と巨人の争奪戦が熾烈(しれつ)を極めてきた。大山に対し、巨人が獲得に向けて超大型契約を準備していることが判明した。

 5年契約に1年の延長オプションを加えた最長6年間の長期契約とみられ、12月に30歳を迎える大山にとっては、36歳のシーズンまで保証される事実上の“終身契約”とも言える。FA権行使を表明した13日の会見で「他球団の評価を聞くことができるチャンス」と語っていたが、巨人の熱意は契約年数からも十分に伝わる。

 一方で阪神も全力で慰留に努めてきた。これまで何度も話し合いを重ね、条件をすり合わせた。昨年オフの契約更改で球団からの複数年契約の打診を断り、単年契約を結んだ大山に対し、今季の推定年俸2億8000万円を大幅に上回る最長5年間、総額20億円規模の大型契約を提示したとみられる。巨人にやや劣る契約内容だが、粟井球団社長が「いけるところまでいきます」と語っていたように、球団としても極限のマネーゲームで最大限の誠意を尽くした。

 連日のように甲子園を訪れ、精力的に体を動かしていた大山だが、全ての球団との交渉が解禁となったこの日、聖地に姿を現さなかった。

 嶌村球団本部長は秋季キャンプが行われている高知県安芸市で取材に応じ、今後の大山との交渉予定については「会う、会わないを言ったり、言わなかったりというのもおかしな話」と話すにとどめた。その上で「(FA)宣言するのもいいし、宣言して残るのもいい。いろんなことで人生の岐路に立たされているので考えてもらいたい」と大山の心中を思いやり、「残ってもらいたいというのは重々ある。来年優勝するために一緒になってやってもらいたい」と改めて残留を熱望した。

 オフに繰り広げられる“伝統の一戦”の場外戦。阪神から巨人へのFA移籍は過去に例がない。来年に球団創設90周年を控え、4番打者の“禁断の移籍”は何としても避けたい。「しっかり納得した決断がしたい。自分が納得できればと思うので、(決断が)どのタイミングになるのかは分からない」と大山は語っていた。熟考の末の決断に、注目が集まる。

 ◆NPB日本選手では7年契約も NPBの日本選手で最長契約は7年。2006年・松中信彦(ソフトバンク)が初めてで、以後、19年・則本昂大(楽天)、20年・柳田悠岐(ソフトバンク)、21年・山田哲人(ヤクルト)も7年契約を結んだ。22年・宮崎敏郎、23年・山崎康晃(ともにDeNA)は6年契約を結んでいる。外国人選手では趙成萊(巨人)が1996年から8年契約。ただ、最終年の契約を残して02年に退団した。