米司法長官に指名のゲーツ氏、理想の刑務所はエルサルバドルの厳戒収容施設
(CNN)トランプ次期米政権の司法長官に指名されたマット・ゲーツ元下院議員は、中米エルサルバドルの悪名高いテロリスト収容施設に感銘を受けているようだ。
今年7月、下院議員として現地を視察したゲーツ氏は、声のよく響く施設内の通路に立ち、「大変多くの規律がこの刑務所には存在する。その数は我々が米国内で目にする多くの刑務所を上回る」と述べた。司法長官に就任すれば、同氏は連邦刑務所局を監督する立場になる。
同氏が訪れたエルサルバドルの「テロリスト監禁センター(Cecot)」には、ギャングのリーダーや殺人犯が収容されている。これらの人々がこの施設から釈放されることはない。
Cecotは、エルサルバドルのブケレ大統領が打ち出す犯罪への強硬姿勢を体現する施設だ。人権団体からはしばしば非難の声を浴びるものの、国内では街に安全を取り戻したとして同氏は広く評価されている。
ブケレ氏が公開した動画の中で、ゲーツ氏はエルサルバドルにとって「これこそが解決策だ」と指摘。同様の施策を他国で導入することも可能だとの考えを示唆した。
最近建設されたCecotには有罪判決を受けた受刑者の他、まだ裁判中の被告も一部収容されている。収容者は1日23時間半を集団監房の中で過ごし、味気ない肉無しの食事を取る。監房を出られるのは1日30分だけで、その時間は運動か聖書学習に充てられる。
トランプ氏は1期目の大統領任期中に就任間もないブケレ大統領を称賛していたが、退任後に移民問題に注力すると一転して批判。ブケレ氏が犯罪者を米国に送り込んでいるとの見解を示していた。
対照的にゲーツ氏は、ブケレ氏に好意を抱いているようだ。タイム誌の記事の中ではブケレ氏を「気の合う人物」と形容。上記のCecot視察の1カ月前には、ドナルド・トランプ・ジュニア氏らと共にブケレ大統領の2期目の就任式にも出席している。
さらにゲーツ氏は、下院でエルサルバドルに関連する議員グループも創設。創設の発表時には、エルサルバドルの驚くべき変ぼうを参考にすれば米国の再生も実現できると主張。国内にかつての安全と繁栄を取り戻せると述べている。
司法長官への就任を承認する上院での公聴会にゲーツ氏が臨んだ場合、同氏はブケレ氏の犯罪及び刑事司法に対する姿勢をどう考えているか尋ねられるかもしれない。またそれらがゲーツ氏自身の司法長官としての立場にどのような影響を与え得るかについても見解を求められそうだ。
先週、米国務省はエルサルバドルに対する渡航警戒レベルを引き下げた。犯罪の「著しい減少」が理由だ。ただ一方で、ブケレ氏が緊急事態宣言を発令した場合、当局は「ギャング活動の疑いのある者を誰でも逮捕し、憲法で保障された彼らの権利の一部を停止できる」とも警告している。