3バックの中央で先発濃厚な板倉。自らがやるべきことを明確にイメージできている様子だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 11月15日に敵地で行なわれる北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第5戦・インドネシア戦が目前に迫ってきた。

 日本代表は11日から現地で調整しており、12日に別メニュー調整だった久保建英(レアル・ソシエダ)、守田英正(スポルティング)も13日からは全体練習に参加。いよいよ臨戦態勢に入りつつある。

 今シリーズでは、ここまで最終予選の4試合で3バックのセンターを務めた谷口彰悟(シント=トロイデン)が負傷により選外に。4バック導入の可能性もあるのではないかという見方もあったが、森保一監督は3バックをブレずに継続する意向。今回はその構成が注目されている。

 6月シリーズからの流れを踏まえると、3バックのセンターは板倉滉(ボルシアMG)が濃厚。左の町田浩樹(ユニオンSG)はそのままで、右には6月のミャンマー戦で先発した橋岡大樹(ルートン)が入る形になりそうだ。

「基本、チームで3枚をやる時は真ん中をやるし、どちらかというと右の方がやってなかったんで、自分が真ん中に入ったとしても、そこはスムーズに対応できるかなと思います」と統率役を担う板倉は自信を口にした。

 日本代表では6月のシリア戦でしかセンターでプレーしていないが、クラブで経験値を積み重ねているのは大きな安心材料ではないか。
 
「彰悟君は守備の対応も強いですけど、攻撃の起点にもなれる選手。相手のプレッシャーが来ても足もとの技術でかわすことができますし、ビルドアップのところで1つクッションにもなれると思います」と大迫敬介(広島)がGK目線で谷口の重要性を口にしていたが、板倉なら攻守両面で同等以上の役割を果たせるに違いない。

 これまで通り、3バックを確実に連動させ、GKやボランチらとの連係もスムーズにしていかなければ、7万8000人の大観衆が押し寄せると言われるインドネシア戦で何らかのアクシデントが起きないとも限らない。

 それを確実に阻止し、「板倉ならセンターでも十分にやっていける」という安心感と信頼を示せれば、今後は彼がこのポジションの主軸になる可能性も少なくない。

 実際、33歳の谷口が怪我から戻ってきた時点でパフォーマンスをトップまで戻せるかは未知数だし、冨安健洋(アーセナル)もいつ代表復帰できるか分からない。不確定要素が多く、人材も手薄なポジションということで、やはり板倉にはかかる期待が非常に大きいのだ。

「攻守において真ん中は安定する必要があると思うし、チームの状況や周りを見ながらサポートしていければいいと思います。

 インドネシアは1トップを含めて機動力もあるし、そこにたくさんボールが入ってくる印象を受けているので、まずはそこでやらせないことが大事。あとはセンターバックの距離感、中盤の距離感を考えながらリスク管理を集中してやらないといけない。

 アバウトなボールも増えてくるでしょうし、事故も起こりえる。みんなが想定しておかないといけないですね」と板倉は自身が率先してやるべきことを明確に描いている様子。それをピッチで確実に実践し、3バックのセンターとしての地位を固めていくべき。まずはその一挙手一投足が期待されるところだ。

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 板倉以外の候補者としては、3バックの全ポジションとボランチができる瀬古歩夢(グラスホッパー)もいる。ただ、森保監督が最終予選では主力メンバーをある程度、固定して戦う方針を示しているところを見ると、11月シリーズで出番が訪れる確率はそう高くない。

 それでも、フィジカルコンタクトの激しい最終ラインは突発的な事態がないとも言い切れない。そこに備えておくことは重要である。

「(センターでは)ラインの統一感だったり、リーダーシップ性というのが求められると思うので、そういうのを発揮していければいいかなと思います。彰悟君が怪我をしたことはチームにとって痛いですけど、その分、自分たちにはアピールのチャンスもありますし、自分なんかはこういったチャンスをモノにしていかないと生き残っていけない」と本人も危機感を吐露していた。
 
 確かに2022年カタールW杯の最終予選を振り返っても、吉田麻也(LAギャラクシー)と冨安が揃って離脱した22年1〜2月の中国&サウジアラビア戦で、谷口と板倉が連勝に貢献し、浮上のきっかけを掴んだことがあった。

 瀬古も限られた出番を得るために食らいつくしかない。今後、チェイス・アンリ(シュツットガルト)ら若い世代のCBが台頭してくると見られるだけに、今シリーズを大切にする必要があるのだ。

 いずれにしても、3バックのセンターの選手層アップが叶うか否か。そこに注目しつつ、インドネシア戦の動向を注視していきたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)