出馬会見でおニャン子ポーズを決める生稲晃子議員

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 11月11日の特別国会で、内閣総理大臣に指名された石破茂首相。さっそく第2次石破内閣を組閣したが、衆院選後の10月1日に組閣をしたばかりということもあり、今回は落選した大臣の交代などにとどめる、小幅なものとなった。

「石破首相は組閣後の会見で『われわれ自民党は、あるべき国民政党として生まれ変わらなければならない』と語り、派閥裏金事件で政治資金収支報告書に不記載があった議員は、世論の反発を恐れて起用しませんでした。

 そうしたなかで、自民党議員も驚いたのが、生稲晃子参院議員の外務大臣政務官への起用です。というのも、これまで生稲氏が積極的に外交問題に取り組んできた印象が、薄かったからです」(政治担当記者)

 たしかに生稲氏は2022年7月、参院選挙で国政に初挑戦したときも、国政を志す背景については、厚生労働関連の主張が多かった。生稲氏は選挙戦で「11年前に乳がんを発症、再発に苦しみながらも芸能活動や子育てをしてきた。いまの社会は仕事と健康の両立に困難な現実が立ちはだかる」と訴え、当選してからも「安心して子育てができる社会」「両親の世話をしながら家族が働き、暮らせる社会」など、自らの体験を踏まえての、育児、介護などに関する言及が多かったのだが……。

 だが、生稲氏の参院所属委員会を調べると、厚生労働委員会のほか、「外交・安全保障に関する調査会」にも名前を連ねていた。しかし自民党関係者は「生稲さん? (会合に)いたかな。記憶がない」と、存在感は薄いようだ。

「大臣政務官は、大臣と副大臣を補佐する役目で、外務省には3人の政務官がいます。衆院議員が当選2回、参院議員が当選1回で任命されるのが慣例ですから、生稲さんが“適齢期”であることは間違いありません。

 外務大臣政務官になったのは、おそらく厚生労働大臣政務官の枠に空きがなかったからでしょう。こういってはなんですが、政務官は適齢期がくれば、本人の希望は横に置かれ、パズルのピースのようにはめ込まれてしまうことも多いのです。

 よもや、ギターをセミプロ級に奏でる、芸能好きの岩屋毅(たけし)外務大臣が指名したとは思いたくはありませんが……」(政治担当記者)

 そんな、仕方なしの起用だとしても、今後は経歴に「政務官」と書けるので、次の選挙では箔がつくことは間違いない。しかし、専門外の議員であることや、生稲氏が参院選中に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連施設を訪問したことなどから、就任に違和感を覚える国民は多いようだ。

 弁護士の紀藤正樹氏も11月12日、自身のXに《なんと外務政務官に生稲晃子参院議員》とポストし、驚きを隠さなかった。ほかにも《国民バカにしてんのかこの政権は》《有権者を舐めた人選。人材払底だな、自民党》《日本外交の中心に生稲晃子が?》など、疑問の声が数多くポストされているのだ。

 初当選が決まったときには、池上彰氏の選挙特番への出演を拒否した生稲氏。池上氏は「伝えるということが政治家としての責務、責任ではないのかなと思いますけどね」と苦言を呈していたが、大臣政務官となれば「コメント拒否」が許されない重責があることだけは、肝に銘じてほしい。