こちらは「かみのけ座(髪座)」の方向約5100万光年先の渦巻銀河「NGC 4414」です。分類上は渦巻銀河ですが渦巻腕(渦状腕)は不明瞭で、はっきりとした渦巻腕を持たない「flocculent spiral galaxy(※1)」としても知られています。


※1…flocculentの意味は「羊毛のような」「綿状の」などであることから、日本語では「羊毛状渦巻銀河」と呼ぶ場合もある。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の広視野カメラ3(WFC3)で撮影された渦巻銀河「NGC 4414」(Credit: ESA/Hubble & NASA, O. Graur, S. W. Jha, A. Filippenko)】

ハッブル宇宙望遠鏡が長年観測し続けてきた銀河のひとつ

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータをもとに作成されました。ハッブル宇宙望遠鏡は1990年代からNGC 4414を観測しており、銀河までの距離測定に用いられるセファイド変光星(※2)の観測などが行われました。


※2…変光周期が長いものほど真の明るさ(絶対等級)が明るいという特徴(周期-光度関係)を持つため、観測した見かけの明るさを変光周期から導き出された真の明るさと比較することで地球からの距離を測ることができる。


冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として欧州宇宙機関(ESA)から2024年10月28日付で公開されました。最近のハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 4414の観測では2021年1月に発見された「SN 2021J」や2023年5月に発見された「SN 2023hlf」といった超新星も捉えられており、その位置を示した画像もあわせて公開されています。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の広視野カメラ3(WFC3)で撮影された渦巻銀河「NGC 4414」(左上)と、1999年(右上)、2021年(左下)、2023年(右下)に撮影された中心部分の拡大図。2021年と2023年には超新星が捉えられている(Credit: ESA/Hubble & NASA, O. Graur, S. W. Jha, A. Filippenko)】
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“みずがめ座”の共生星「みずがめ座R星」(2024年10月25日)ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“おとめ座”の渦巻銀河「IC 3225」(2024年10月22日)

 


Source


ESA/Hubble - Revisiting an old beauty

文・編集/sorae編集部


#ハッブル宇宙望遠鏡 #渦巻銀河 #NGC4414


Last Updated on 2024/11/02