太田食堂名物「カツカレーラーメン」。カツは注文を受けてから揚げる

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前橋支局長 金杉康政

 ラーメンにカレー、トンカツという、人気の3品を掛け合わせた「カツカレーラーメン」なる一杯を出す前橋の定食屋さんが評判になっているらしいと、取材の合間に耳にした。

 どんな味なのだろうか。うまいものを三つ合わせれば3倍うまいはず――。好奇心、いや、食い意地を抑えきれず、店を訪ねてみた。

 前橋市の中心市街地から車で約30分、田畑に囲まれた住宅街にある「太田食堂」。のれんをくぐり、早速、店主の太田伸也さん(45)に「カツカレーラーメン」(950円)を注文。すると、鉄鍋から聞こえるカツの軽やかな揚げ音とともに、スパイシーなカレーの香りも漂ってきた。待つこと5分。湯気を立てた大きなどんぶりが運ばれてきた。

器の真ん中に手のひらより大きなカツがドン

 器の真ん中に手のひらより大きなカツがドンとのっている。かじるとサクッとした音が鳴り、群馬産豚の甘みが口の中に広がった。太めの麺もカレー味のスープによく絡む。箸が止まらない。あっという間にたいらげてしまった。「ボリュームがあるけれど、食べ始めると難なく完食、というお客さんが多い」と太田さんは笑う。もう一つの店の名物「もつ煮」(680円)とライスを付けてペロリ、という人もいるという。

 太田さんによると、カツカレーラーメンは、先代である父が1973年に店を始めた際に考案した。「単に自分が好きなものを掛け合わせただけ」という一杯だったが、農家など力仕事をする人たちに愛され、人気メニューに。15年ほど前にはテレビ番組で紹介され、今では県外からも多くの客が訪れる。

 「どんなに忙しくなっても、一食一食丁寧に作り続けていきたい」。太田さんは、2年前に亡くなった父から学んだ味だけでなく、仕事への姿勢も受け継いでいくつもりだ。

 ※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。

 国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。

太田食堂

 前橋市粕川町膳487の39

 昼の営業は午前11時〜午後2時、夜の営業は月、水、金曜の午後5時半〜8時、土曜の午後5時〜8時。日曜、祝日定休。