レアで豪快な肉盛りがうれしい! ビストロ料理がお腹いっぱい楽しめる神保町の新店

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2024年7月に神保町にオープンした「bistro mele」気さくに楽しめるビストロ料理が豊富。なかでもレアで豪快なシャルキュトリの肉盛りが盛り上げ役となっていた。

〈自然派ワインに恋して〉

シェフの料理とマリアージュするのは、自然派ワイン。そんなレストランが増えている。あの店ではどんなおいしい幸せ体験が待っているのだろう。ワインエキスパートの岡本のぞみさんが、自然派ワインに恋して生まれたお店のストーリーをひもといていく。

ナビゲーター

岡本のぞみ

ライター(verb所属)。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、日本地ビール協会認定ビアテイスター/『東京カレンダー』などのフードメディアで執筆するほか、『東京ワインショップガイド』の運営や『男の隠れ家デジタル』の連載「東京の地ビールで乾杯」を担当。身近な街角にある、食とお酒の楽しさを文章で届けている。

居酒屋感覚で使いたいビストロ

内観

気のおけない仲間と過ごす夜は、舟盛りでビールを楽しむようにビストロでシャルキュトリの肉盛りと自然派ワインで盛り上がりたい。そんなときにぴったりなのが神保町「bistro mele(ビストロメレ)。シェフの桜井乗さんは学生時代から過ごしてきた神保町でビストロをやりたいと独立。目の届く範囲で料理とワインが提供できる現在の店で、2024年7月に店をオープンした。

シェフの桜井乗さん

「もともとビストロはフランス人にとって居酒屋のようなもの。堅苦しくなくにぎやかに、お腹いっぱい食べてもらえるのが理想です」と桜井さん。たらふく食べられるだけでなく、東京・小平市にある無施肥・無農薬の「あさみえん」の野菜を中心に使うなど食の安全も重視。ドリンクには自然派ワインが提供されている。

マッシュルームサラダ✕オレンジワイン

フレッシュマッシュルーム パルミジャーノ(ハーフ1,000円、レギュラー1,800円、※写真はレギュラー)

ワイン好きな人に好評なのが「フレッシュマッシュルーム」。生のマッシュルームにオリーブオイルとパルミジャーノ・レッジャーノをかけたシンプルなサラダだが、なんといってもその豪快さに驚く。20cm大の楕円皿にたっぷりと厚切りで提供されているのだ。きのことチーズなのだからワインに合わないはずがなく、軽く食べられるのもうれしい一品となっている。

クアントゥム・ワイナリー ディスコンストラクションNV(グラス1,300円、ボトル8,300円)

フレッシュマッシュルームにおすすめなのは、オーストリアのオレンジワイン。「マッシュルームだけでなくチーズもたっぷりかかっているので、白ワインよりもコクのあるオレンジワインがいいですね。フレッシュさもあるので、最初の一杯としてもおすすめできます」と桜井さん。フレッシュなきのこのおいしさを熟したりんごにハーブのような爽やかさで合わせる組み合わせは、楽しいビストロならではの陽気なスターターとなった。

自家製シャルキュトリ✕薄旨赤ワイン

自家製シャルキュトリ〈牛ハツのハム ハーブマリネ ハーフ400円、レギュラー700円 ホエー豚のハムスパイスマリネハーフ400円、レギュラー650円〉 レバームースハーフ300円、レギュラー500円〉

きのこのサラダで調子づいた後は、自家製シャルキュトリを頼めば店の実力がわかる。自家製シャルキュトリは、牛ハツのハム、豚のハム、レバームース、パテ・ド・カンパーニュが用意されている。少しずつ注文して盛り合わせにすることも可能。シャルキュトリはいずれも、ハーブやスパイスでマリネされてなめらかに仕上げされており、さまざまな種類の肉のおいしさが満喫できる。

カンティーナ・インディジェノ トレッヴィアニコ2020(グラス1,500円、ボトル10,000円)

自家製シャルキュトリ盛り合わせにおすすめのワインは、南イタリアのワイン。「トレッビアーノ(白ブドウ品種)とアリアニコ(黒ブドウ品種)を混ぜて造られたワインです。赤ワインと白ワインの両方の良さがあって、シャルキュトリにちょうどいいですね。シャルキュトリにスパイスやハーブを使っているため、ワインのスパイス感ともマッチしています」と桜井さん。バランスや旨味がほどよく寄り添う組み合わせだった。

仔羊のロティ✕果実味赤ワイン

骨付き仔羊のロティ(3,000円)

メインの肉料理の自慢メニューは「骨付き仔羊のロティ」。オーストラリア産の仔羊は、3センチはあろうかという厚みがあり、ロゼ色が美しい。「ローストするときはロゼ色を常に保って、肉汁がとじこめられるように、40分くらいかけています」と桜井シェフ。

ソースは、蝦夷鹿のすじと野菜の出汁をベースに仔羊を焼いたときの肉汁を足したものを使用。さらにミントとほうれん草のピュレを加えてさわやかさがプラスされている。

ポデーレ・サン・ビアージョ ”カフォーネ”ロッソ コッリ・アプルティーニ2022(グラス1,200円、ボトル8,300円)

仔羊のロティにおすすめなのは、イタリアのモンテプルチアーノ・ダブルッツォ。「果実味がしっかりした品種ですが、土っぽさやタンニンもほどよくあります。私自身、赤ワインと肉をあわせるときに赤ワインのタンニンが勝ってしまう組み合わせよりも、肉のガツンとしたおいしさを感じてほしいと思っています。その点でちょうどいいバランスの赤ワインです」と桜井さん。仔羊のみずみずしい肉汁と旨味が余韻として感じられるペアリングだった。

桜井さんの「私が恋した自然派ワイン」

京都丹波ワイン 酸化防止剤無添加 てぐみ30 2023(ボトル7,000円)

桜井さんの恋したワインは、日本ワインの印象を変えた1本。

「デパートの世界のワイン展で出会ったワインです。それまで日本ワインはあまり好みではないと思っていましたが、これを飲んでイメージが変わりました。

京都丹波ワインのてぐみ30は、30種類のブドウを混ぜた微発泡ワインです。にごりのあるナチュラルな造りで、オレンジワインがプチプチと発泡しているようなタイプです。そのなかにいろいろなブドウの良さが詰まっていて、おりまでおいしさがあります。微発泡で泡がやわらかいのもいいですね。日本ワインの良さに気づかせてくれたワインです」

さまざまなタイプの自然派ワインをラインアップ

野菜などの農作物同様に「昔ながらの造りをしているワインが好き」という桜井さん。そのなかでさまざまなタイプの自然派ワインが用意されている。国や地域などの土地に関しても世界中から揃えられており、現状はフランスやオーストリア、イタリア、ドイツなどが多いそう。ラベルにも造り手の個性が現れているため、おもしろい特徴のあるワインも多くなっている。グラス6種類(660円〜1,500円)、ボトル25〜30種類(6,500円〜15,000円)。

アットホームな空間でシェフの料理を楽しもう

肉の火入れにはじっくりと時間をかけて絶妙の焼色で仕上げられている
外観

ビストロメレがあるのは、神保町の少し落ち着いたエリア。豪快な一皿をくつろぎながらアットホームな雰囲気で過ごせるのが魅力。今後はコース料理も造られる予定なので、仲間内の宴会にも利用できる。ビストロメレを起点に、気の置けない仲間が集まる計画を立ててみよう。

※価格は税込、席料 450円(パン代として)


<店舗情報>
◆bistro mele
住所 : 東京都千代田区神田錦町3-14
TEL : 03-6285-0700

取材・文:岡本のぞみ(verb)
撮影:木村雅章

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