U-20日本女子代表のゴールを守ったGK大熊茜(INAC神戸レオネッサ)が、なでしこジャパンの正守護神の座を虎視眈々と狙う。「出場するとなれば、もちろん自分自身の持っている力を最大限に発揮できるようにしていきたい」。目を輝かせた国立競技場のピッチで初出場を目指す。

 日本女子代表は26日、パリ五輪後初の公式戦で韓国女子代表と対戦する。佐々木則夫監督代行は同活動に向けて23人を招集。4選手が初選出(MF土方麻椰/東京NBは怪我のため不参加)となり、大熊もその一人だ。

 現在20歳の大熊は千葉県出身で、ジェフ千葉レディースの育成組織を経て、23年にトップチームへ昇格した。2023-24シーズンの途中からプレー機会を得ると、WEリーグ10試合に出場。今夏、I神戸に完全移籍で加わり、U-20女子ワールドカップで不在となった期間を除いて、ここまでリーグ戦4試合でフル出場している。

 9月に行われたU-20女子W杯では、ファイナルまでの全7試合に先発出場。優勝こそ逃したものの、スペイン、オランダなどの強豪国を無失点に抑える活躍を見せ、今回初のなでしこジャパン入りを果たした。

 25日に試合会場の国立競技場で前日練習を終えた大熊。報道陣の囲み取材に応じると「(国立は)初めて。すごく綺麗で、本当に来たんだなと思う」と、なでしこジャパンの一員として踏む国立のピッチをかみ締めた。

 あすの韓国戦で狙うのはもちろん先発出場だが、世界最高峰のリーグで鍛錬を続けるGK山下杏也加(マンチェスター・C)の壁は大きい。それでも大熊は、ゴールキーパーという1つしかないポジションで戦ってきたゆえに、「ベンチだとしても、自分の成長に向けて、外から一緒に戦っていきたい」と控えGKの立振る舞い方は分かっているようだ。

 大熊は山下について「やはり堂々としている姿はすごい。プレーでも、本当にチームを助けられる存在」と間近ですごさを実感した模様。「このキャンプでは、毎日見習いながら、盗むところは盗んで終わりたい」とし、そのうえで自身の強みと語る「シュートストップはもちろんだが、積極的にビルドアップに関わりながら、1個飛ばすボールだったりを蹴れるところ」に磨きをかけていく。

 同日午前にはGK平尾知佳(新潟L)の離脱が発表され、今回韓国との2連戦(うち1試合はトレーニングマッチ)が予定されていることから、大熊の実戦デビューの可能性は高い。「知佳さんがコンディション不良でいなくなり、自分自身チャンスだと思っている。チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」。大熊は今回の代表活動で爪痕を残すつもりだ。

(取材・文 成田敏彬)