停泊中の岩谷産業の水素燃料電池船「まほろば」=2024年10月25日午後0時19分、大阪市福島区、西村宏治撮影

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 岩谷産業は24日、建造していた水素燃料電池船が完成したと発表した。

 来年4月に開幕する大阪・関西万博での運航をめざしており、実証運航を今後進める。万博では大阪市中心部の中之島から、会場がある大阪湾の夢洲(ゆめしま)への旅客輸送を担う計画で、水素燃料電池船の商用運航は国内初となる見通し。

完成した岩谷産業の水素燃料電池船「まほろば」=同社提供

 船名は「まほろば」。「素晴らしく、住みやすい場所」という意味を持つ古語で、世界の未来が自然と共生により真のまほろばになってほしいとの思いを込めたという。

 全長33メートル、幅8メートルで、定員は150人。水素を燃料とし、空気中の酸素と反応させてできる電気を使ってモーターで動く。運航中の二酸化炭素の排出はゼロで、従来のエンジンの船に比べると、においや騒音、振動も少ないという。

 広島県尾道市で建造され、今年5月に進水式を実施。10月中旬に大阪まで曳航(えいこう)された。運航は京阪ホールディングスの完全子会社、大阪水上バスに委託する予定だ。(西村宏治)