明日の株式相場に向けて=復活機運に乗る「AI関連」の草刈り場
週明け21日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比27円安の3万8954円と小幅ながら反落。今週は動くに動けない相場というべきか。米国株市場が高値圏でそれなりに底堅さを発揮し、外国為替市場で再び急激な円高に見舞われるようなことがなければ、日経平均も下値抵抗力を発揮することは想定される。だが、一方で上値を買い進む動きも見込みづらく、きょうは朝安後に切り返し、おおむね3万9000円台で強含みに推移したが、引け間際に先物主導でマイナス圏に力ずくで押し込まれた。
国内政治はあまり相場に影響を及ぼさないという見方もあるが、それでも27日(日曜日)に投開票が行われる衆議院総選挙の結果を見極めるまでは安心できない。石破政権の勝敗ラインははっきりしないものの、自民党単独過半数割れを余儀なくされても自公連立で過半数を維持できれば、株式市場もおおむね織り込み済みで波乱は回避されそうである。石破首相は国家防衛には一家言を持っているが、経済についてはこだわりが強くないのか、金融所得課税については前言を翻し、細かいことは抜きにして「インベストイン岸田」路線をバルクで引き継ぐことを明示している。したがって、総選挙というビッグイベントを通過すれば、失点を取り戻しマーケットと宥和できると踏んでいるようだ。しかし、政治の世界では「まさか」が頻発する。仮に連立与党で過半数割れとなった場合、政局を嫌うとされる海外投資家の売りを問答無用で誘発する可能性は高い。
今週は23日のニデック<6594.T>の決算をはじめ週末25日に信越化学工業<4063.T>やファナック<6954.T>など主力どころの決算発表が予定されている。前週に発表されたディスコ<6146.T>は好決算を好感され、戻り足を強めているが、その他の半導体製造装置関連はアドバンテスト<6857.T>を除き、総じて上値の重さが拭えていない。レーザーテック<6920.T>や東京エレクトロン<8035.T>の戻りの鈍さは、半導体関連に対する投資マネーの疑心暗鬼を反映している。
米エヌビディア<NVDA>が最高値圏に浮上しても、同関連で買われていた半導体銘柄が見直されにくくなっている。これは株式需給悪に尽きる。したがって、中長期的には時価近辺は買い向かって報われる公算が小さくないが、では時間軸、株価水準ともに今が買いのベストポジションかというと、おそらくそうではない可能性が高い。
一方、売り物がこなれて枯れているのがAI関連株で、行き過ぎたユートピアを囃(はや)した生成AIに対する幻滅はあったが、それは商業化ベースになかなか発展していかないことが嫌気されたもの。現在は中期的な革命途上にあるという認識がリロードされ、再びAI関連に機運が高まってきた。株式需給面では貸株市場を通じた空売りが高水準で、ヘッジファンド系にいいように売り叩かれてきた反動が足もとで出ている。玉石混交であるため、中期スタンスで買い溜めるには慎重なリサーチや分析が必要なのは言うまでもない。しかし、表現は悪いが今は反射神経で買える局面にあるといえる。
クロス・マーケティンググループ<3675.T>はデジタルマーケティングを展開するが、連結子会社で生成AIを活用した新サービスを開発している。また、企業向け情報端末の一括管理を手掛けるオプティム<3694.T>は、スマートフォンやAIを活用した顧客・利用者接点のデジタル化プラットフォームを提供し新境地を開拓している。AIを活用した販促支援システムで急速に頭角を現しているAppier Group<4180.T>だが、その業績変化率は目を見張るよりない。このほか、AI関連の要マーク銘柄としてはSIGグループ<4386.T>、コムチュア<3844.T>、Aiロボティクス<247A.T>、Laboro.AI<5586.T>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、10月の主要銀行貸出動向アンケート調査が朝方取引開始前に開示される。前場取引時間中に9月の白物家電出荷額が発表されるほか、10年物クライメート・トランジション利付国債の入札も予定されている。午後には9月の食品スーパー売上高や、「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」を日銀が開示する。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にSchoo<264A.T>が新規上場する。海外では、BRICS首脳会議が24日までの日程で議長国ロシアの中部カザンで開催される予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
国内政治はあまり相場に影響を及ぼさないという見方もあるが、それでも27日(日曜日)に投開票が行われる衆議院総選挙の結果を見極めるまでは安心できない。石破政権の勝敗ラインははっきりしないものの、自民党単独過半数割れを余儀なくされても自公連立で過半数を維持できれば、株式市場もおおむね織り込み済みで波乱は回避されそうである。石破首相は国家防衛には一家言を持っているが、経済についてはこだわりが強くないのか、金融所得課税については前言を翻し、細かいことは抜きにして「インベストイン岸田」路線をバルクで引き継ぐことを明示している。したがって、総選挙というビッグイベントを通過すれば、失点を取り戻しマーケットと宥和できると踏んでいるようだ。しかし、政治の世界では「まさか」が頻発する。仮に連立与党で過半数割れとなった場合、政局を嫌うとされる海外投資家の売りを問答無用で誘発する可能性は高い。
今週は23日のニデック<6594.T>の決算をはじめ週末25日に信越化学工業<4063.T>やファナック<6954.T>など主力どころの決算発表が予定されている。前週に発表されたディスコ<6146.T>は好決算を好感され、戻り足を強めているが、その他の半導体製造装置関連はアドバンテスト<6857.T>を除き、総じて上値の重さが拭えていない。レーザーテック<6920.T>や東京エレクトロン<8035.T>の戻りの鈍さは、半導体関連に対する投資マネーの疑心暗鬼を反映している。
米エヌビディア<NVDA>が最高値圏に浮上しても、同関連で買われていた半導体銘柄が見直されにくくなっている。これは株式需給悪に尽きる。したがって、中長期的には時価近辺は買い向かって報われる公算が小さくないが、では時間軸、株価水準ともに今が買いのベストポジションかというと、おそらくそうではない可能性が高い。
一方、売り物がこなれて枯れているのがAI関連株で、行き過ぎたユートピアを囃(はや)した生成AIに対する幻滅はあったが、それは商業化ベースになかなか発展していかないことが嫌気されたもの。現在は中期的な革命途上にあるという認識がリロードされ、再びAI関連に機運が高まってきた。株式需給面では貸株市場を通じた空売りが高水準で、ヘッジファンド系にいいように売り叩かれてきた反動が足もとで出ている。玉石混交であるため、中期スタンスで買い溜めるには慎重なリサーチや分析が必要なのは言うまでもない。しかし、表現は悪いが今は反射神経で買える局面にあるといえる。
クロス・マーケティンググループ<3675.T>はデジタルマーケティングを展開するが、連結子会社で生成AIを活用した新サービスを開発している。また、企業向け情報端末の一括管理を手掛けるオプティム<3694.T>は、スマートフォンやAIを活用した顧客・利用者接点のデジタル化プラットフォームを提供し新境地を開拓している。AIを活用した販促支援システムで急速に頭角を現しているAppier Group<4180.T>だが、その業績変化率は目を見張るよりない。このほか、AI関連の要マーク銘柄としてはSIGグループ<4386.T>、コムチュア<3844.T>、Aiロボティクス<247A.T>、Laboro.AI<5586.T>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、10月の主要銀行貸出動向アンケート調査が朝方取引開始前に開示される。前場取引時間中に9月の白物家電出荷額が発表されるほか、10年物クライメート・トランジション利付国債の入札も予定されている。午後には9月の食品スーパー売上高や、「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」を日銀が開示する。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にSchoo<264A.T>が新規上場する。海外では、BRICS首脳会議が24日までの日程で議長国ロシアの中部カザンで開催される予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS