ムーキー・ベッツ(7日撮影)

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 「ナ・リーグ・地区シリーズ、パドレス0−8ドジャース」(9日、サンディエゴ)

 負ければシリーズ敗退の崖っぷち。チームを勢いづけたのは大谷と1、2番コンビを組むベッツだった。

 初回に2試合連続のホームラン。豪快な一発でブーイングを浴びせる敵地ファンを黙らせると、三回には大谷との連続適時打でリードをさらに広げた。

 「自分ではベストを尽くしているが、十分じゃない」

 苦悩する姿をさらけ出したのは、4打数無安打に終わった第2戦の試合後だ。第1戦は2打数無安打3四球。22年のポストシーズンから数えて29打席連続無安打(6四球、1犠飛含む)。「もどかしい」と悔しさをにじませた。

 しかし、心は折れなかった。第2戦の翌日、敵地で行われたチーム練習では逆方向、センターから右翼方向への打球を繰り返した。「3、400スイングほどやった」。練習は裏切らない。第3戦の初回に左越え本塁打をたたき込み、ポストシーズンの連続無安打記録に終止符を打つと、三回には大谷に続いて中前打を放ち、T・ヘルナンデスの満塁弾を呼び込む。チームは惜敗したが『明日』につながる試合になった。

 2試合連続本塁打&マルチ安打。試合後のベッツはプレーオフ期間中の猛練習を「やり過ぎは気にしない。努力をしないよりやり過ぎた方がいい。球場に着いたらすぐにケージにこもる。試合に出た後はまた中で打つ。それが僕のやり方だ」と力説。「チームは素晴らしい仕事をしてくれている。チームメートも僕に自信を取り戻させようと手助けしてくれている」と感謝した。

 昨季のドジャースは地区シリーズでダイヤモンドバックスに3連敗敗退。ベッツは1番打者で12打席無安打に終わった。そして、今季も第2戦までヒットなし。「ソーシャルメディアはネガティブなものばかりだったからすべてオフにした。ポジティブな空気を自分の中に取り込まなければならなかった。チームはそれをしてくれた。もう大丈夫だと思う」。逆王手。2日後の最終第5戦に向けて確かな手応えを感じ取っていた。