Image: ESO/M. Kornmesser

地球外生命体まだ?

単独の星としては太陽に一番近い恒星が、少なくとも1つの惑星を持っていることがわかりました。1つは確定、さらに3つはありそうで、もしや生命が存在し得る太陽系外惑星が見つかるのでは…?と期待が高まります。

その系外惑星の発見については、スペインのカナリア天体物理学研究所のジョネイ・ゴンザレス・エルナンデス氏らの研究チームが論文にまとめ、学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載されています。彼らはチリのパラナル天文台にある超大型望遠鏡(VLT)の5年間の観測データを分析し、その結論を導き出しました。

6光年先、バーナード星の惑星

太陽に一番近い単独の星とは、地球から6光年の距離にある赤色矮星バーナード星です。バーナード星は暗い低温の星で、質量は太陽の7分の1ほど。「単独の星」とわざわざ断っているのは、バーナード星より太陽に近い約4光年の距離に、三重連星のケンタウルス座アルファ星を構成するプロキシマ・ケンタウリがあるからです。

Earthskyは、バーナード星は太陽より力が弱いことを指摘しています。もし地球がバーナード星を公転していたら、その地表の環境は今の地球とはまったく違うものになるでしょう。

「スーパーアース」ではない

新たに発見された系外惑星も、たしかに地球とは全然違う環境のようです。「バーナード星b」と名付けられたその系外惑星は、太陽系で太陽に一番近い水星よりも20倍主星に近く、公転周期は地球の時間で数えるとたった3日間です。なので表面温度は華氏257度(摂氏125度)と、非常に高温です。

論文の主著者エルナンデス氏は、ESOのプレスリリースで述べています。

「バーナードbは、知られる中で最も質量の小さい系外惑星の1つであり、地球より質量が小さい数少ない系外惑星の1つでもあります」

バーナード星は前々から、系外惑星を持つのではないかと考えられていました。2018年にそれらしい証拠が見つかり、エルナンデス氏らの分析でついに明確に存在を確認できたんです。

ただバーナード星bの実態は、2018年に考えられていた「主星を233日で周回し、地球の3.2倍以上の質量を持つスーパーアース」とは違っていました。また研究チームは、バーナード星のハビタブルゾーン内、つまり液体の水が地表に存在し得る領域で公転する系外惑星を探したんですが、バーナードbはハビタブルゾーン外にあるので、残念ながら我々が考えるような生命体はいなさそうです。

系外惑星はまだまだ見つかりそう

この論文の共著者で、同じくカナリア天体物理学研究所のアレハンドロ・スアレス・マスカレーノ氏はこう述べています。

「この惑星の発見は、プロキシマbやdの発見と併せ、我々のいる宇宙のすぐ近くに低質量の惑星が多数あることを示しています」

論文の中では、バーナード星には他に少なくとも3つの惑星が存在することを示す根拠があるが、確定にはさらなる観測が必要とされています。

ESOでは今、欧州超大型望遠鏡と呼ばれる次世代望遠鏡を建設中ですし、NASAでもジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やTESSのようなミッションを展開しています。新たな観測技術により、これからますます宇宙のご近所さんたちが見つかっていきそうです。

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