「かどや製油」(本社:東京・北品川)は、江戸時代から165 年以上にわたってごま油を作り続けるごま総合メーカーだ。そんな同社が2022年から、ごま料理を専門としたカフェ『goma to』を東京・自由が丘で営んでいるのをご存知だろうか。2024年6月にはリニューアルを行い、夕方17時から居酒屋メニューをスタート。ごま焼酎を使ったオリジナルの茶割りや自然派ワイン、ごまをふんだんに取り入れたペアリングメニューが楽しめる『cafe &…

「かどや製油」(本社:東京・北品川)は、江戸時代から165 年以上にわたってごま油を作り続けるごま総合メーカーだ。そんな同社が2022年から、ごま料理を専門としたカフェ『goma to』を東京・自由が丘で営んでいるのをご存知だろうか。2024年6月にはリニューアルを行い、夕方17時から居酒屋メニューをスタート。ごま焼酎を使ったオリジナルの茶割りや自然派ワイン、ごまをふんだんに取り入れたペアリングメニューが楽しめる『cafe & izakaya「goma to」』に生まれ変わったと聞いて、早速おじゃましてきた。

女性のおひとり様でも入りやすい、モダンな店内

カフェのようなモダンな内装

江戸時代末期の安政5(1858)年に香川県の小豆島で誕生した「かどや製油」。当時は「加登屋(かどや)製油所」という社名でごま油の製造販売をスタートしたが、名の由来は創業時の店舗と工場が交差点の“角地”に位置していたからだという。今もなお165年以上に渡ってごま製品を作り続け、世界市場でも成長を続けるまれな企業だ。

居酒屋業態をスタート後、店先には居酒屋らしい暖簾がかかったものの、店内は開業時から変わらないモダンな内装をキープしている。カフェ感覚で入りやすいので、女性のひとり飲みでも気軽に足を運びやすいのがうれしい。

同店がオ―プン時から大切にしていることは、ごまの新しい使い方やごまの新しい魅力をゲストに発信することだ。いり、すり、ねりごま、焙煎度合いが異なるごま油など、これまでもひと捻り効いた多彩なごま料理を展開してきた。

古来から伝わる伝説とごまの意外な効能とは

かどや製油が手がける、多彩なごま油

ごまには、ビタミンB1・B2やミネラル、食物繊維などさまざまな栄養成分が含まれているが、特に「ゴマリグナン」は体内で強い”抗酸化性”を発揮するそうだ。活性酸素などが原因で身体がサビるのを防ぎ、老化防止や免疫力の向上に役立つといわれている。

因みに、エジプトのピラミッドからもごまが発見されたが、古代エジプトでは「ごまは薬」という意味で「セムセム」「セセム」と呼ばれていたそうだ。当時ごまは病気を治すだけでなく、王様の精力剤としても愛用されていたというから面白い。

cafe & izakaya『goma to』でおさえておきたいメニューは?

新たに登場した居酒屋メニュー

『cafe & izakaya「gomato」』の料理には、焙煎度合によって味が異なる同店オリジナルのごま油3種と、新しい味わいのごま油「ごまの実オイル」を使用しており、それぞれの油の個性が楽しめる工夫が凝らされている。

リニューアル後は、より幅広い客層のゲストに親しんでもらうことを目的にごま焼酎を使った茶割りのほか、料理に合う自然派ワインなどのアルコールメニューも6種類から15種類以上まで拡充したそうだ。

4種のごま油で自由自在に味変!必食の進化系ヒレカツ

「低温調理のヒレカツ〜ごま油4種食べ比べ〜」

新メニューの中で特にオーダーしてほしいのは「低温調理のヒレカツ〜ごま油4種食べ比べ〜」(2200円)。中東で食べられている麺のひとつであるカダイフで巻いたヒレカツは、表面のパリパリとした食感と低温調理でジューシーに仕上げた肉とのコントラストがたまらない一品だ。

決め手はこのヒレカツのつけダレとなっているごま油である。軽やかな味わいの「goma to SESAME OIL 01 LIGHT」、マイルドな「goma to SESAME OIL 02 MILD」、濃厚かつパンチのある「goma to SESAME OIL 03 STRONG」、ナッツのような香りの「ごまの実オイル」。焙煎度合いの異なるごま油の味と香りを比較しながら、新感覚のヒレカツの味変を楽しもう。

ワインが進む!洋風こんにゃくに注目

「こんにゃくブルーチーズ」

濃厚な力強い味わいのブルーチーズソースに、小さくカットしたこんにゃくとごまを合わせ、香ばしい白すりごまを添えた「こんにゃくブルーチーズ」(680円)は、思わず箸が止まらなくなる、クセになる味わい。こんにゃくといえば和食のイメージだが、こちらに限っては洋食感覚で味わえるので、自然派ワインと合わせるのもおすすめだ。

和と洋の融合が楽しめるメニューが豊富

「イワシと奈良漬、すりごまのリエット」

イワシのコンフィをクリームチーズに合わせ、奈良漬でハズしを効かせた「イワシと奈良漬、すりごまのリエット」(760円)は、和酒にも洋酒にもマッチする一品。胡瓜のシャキシャキ食感と、濃厚なリエットが相性抜群だ。

ごま焼酎の茶割は旨みと香りが魅力

「KANEJU-FARM 水出しほうじ茶×ごま焼酎」

ごま焼酎を使ったお茶割にチャレンジすべく、取材時のドリンクは「KANEJU-FARM 水出しほうじ茶×ごま焼酎」(680円)をオーダー。「KANEJU-FARM 水出しほうじ茶」のまろやかな旨みがごまの香りと見事に調和した一杯であった。

ごま油と自然派ワインのペアリングという新しい試み

『goma to』オリジナルごま油とワイン

因みに店の入口前のテーブルに並べられた、同店オリジナルの3本のごま油とその後ろのワインにも注目してみてほしい。それぞれのごま油の周囲には味わいがマッチするワインがずらりと並び、初心者でもそれぞれのごま油を使った料理に合う、ペアリングワインを選ぶことができるのだ。

焙煎度合いによって味わいも香りも全く異なるごま油。数種類の居酒屋メニューとペアリングの酒を飲み比べながら、今まで知らなかったごまの魅力に触れる夜を過ごしてみては。

[住所]東京都目黒区緑が丘2-24-8 アーブル自由が丘
[電話]03-6459-5959 
[営業時間]11時〜21時(L.O. 20時)
※『cafe & izakaya「goma to」』は17時〜
[休日]不定休
[交通]東急東横線「自由が丘駅」から徒歩5分

文・写真/中村友美

フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。