車の運転にかぎらず、日頃から「周りの人に迷惑をかけたくない」という気持ちを抱えている人は少なくないでしょう。「日本人には繊細な気質の人が多い」といった声も聞かれますが、そうした気質は運転においてどのように表われているのでしょうか。

今回はドライバーの方々に、「自分だけかもしれない運転時のマナー」について話を聞きました。

駐車場での小さな思いやり

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車を運転していて、ルールやマナーが曖昧になりやすい場面として「駐車場」が挙げられます。施設によって出入り口の制限があったり、順路が指定されていたりと、円滑な通行のためには利用者のマナーが求められるでしょう。

基本的なマナーに加えて、次のような点に配慮しているという声もありました。

「進行方向が決まっている駐車場で、後続車がいる場合にはなるべく奥に止めています。店の入り口に近いところが見つかっても、自分がそこに止めると後ろがつっかえてしまうときには、もっと先のスペースに止めるようにしていますね。

それでも後ろを待たせることはありますし、ささいな違いですけど……。でも、なるべく奥のスペースから埋めていった方が後ろの待ち時間は短くなるかなって」(40代女性)

基本的に「どの駐車スペースに止めるか」は先を進む車に決定権がありますから、順路の手前側で駐車したとしても、とくに問題はないと考えられます。そうしたなか、「施設に近いところよりも後続車が詰まりにくいところを選ぶ」というのはかなり周囲に配慮した動きだといえそうです。

入りたい施設が道路右側に…あなたならどうする?

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今回取りあげる「繊細なドライバー」に共通する特徴として、「自分の行動が周囲に与える影響」についてかなり配慮する傾向が見られました。典型的なのが、以下に挙げる「右折入庫」に関するお話です。

「あんまり思いつかないですけど、とりあえず幹線道路なんかでは絶対に右折入庫はしないようにしています。交通量が多くて流れも速い道で、交差点のないところで右に入ろうとすると、やっぱり後ろも詰まりますし、危険にもつながりやすいかなって。

先の交差点でUターンするか、できなければ迂回するか。3分くらいはロスしていると思いますけど、後ろからプレッシャーを感じるよりはいいかなと。

前に友達を乗せたときに『なんで遠回りしてんの?』と不思議がられて、そっかこれって普通じゃないんだなって思いましたね」(30代女性)

たしかに幹線道路など交通量が多い箇所での右折入庫は、後続車の流れに大きく影響を及ぼすことがあり、施設側がこれを禁じていることも珍しくありません。

一方で、「右折入庫が禁じられていなくても迂回する」という人は、どちらかといえば少数派なのかもしれません。

夜の信号待ち、「アレ」はやっぱりした方がいいの?

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続いては、かつて「思いやりある運転」の定番だった夜間の行動です。

「最近あまり見ないですけど、私は免許を取ってからずっと、夜間の交差点で先頭になったときにヘッドライトをスモールにしています。不要な配慮かもしれないですが、やっぱり上り坂だったり、交差点が少しカーブしていたりすると、対向車のヘッドライトが眩しいことはありますからね」(60代男性)

このように、信号待ちなどでのライト減光は、対向車などが眩しくないように配慮した行動です。一方で現在では、再出発時につけ忘れてしまうリスクなどを鑑みて、あまり推奨されなくなっているようです。

法制度の面でも、オートライト機能の義務化によって走行中はライトを消せない車が増えており、今後もこうした行動は見かけなくなっていくのかもしれません。

高速でなるべく邪魔にならないように…

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さまざまなペースの車が通行する高速道路上では、速い車に出会った際に「先に行かせよう」と車線を譲るドライバーも多いでしょう。さらに、自分が周囲のペースを乱さないよう、こんな行動をしている人も。

「ただ自分のペースが遅いだけなんですけど、高速なんかの登坂車線はいつも使うようにしています。普通の走行車線と違って、登坂車線は遅い車のための車線じゃないですか。なので自分のペースでのんびり走れますし。

ただ、たまにものすごく速い車が左側から一気に追い越すために登坂車線を使うのに出くわして、そういうときはかえって怖い思いをしちゃいますね」(20代男性)

高速道路などの上り坂に設置される登坂車線は、大型車両をはじめ「上り傾斜で速度を上げにくい車両」を想定した車線です。

とはいえもちろん、通行できる車両に制限はないため、出力の低い車に多くの人や荷物を載せている状況など、速度に不安があるケースでは車種を問わず活用していくとよいでしょう。

このように、ドライバーによって「周囲への気遣いポイント」はさまざまです。みなさんは運転する際、「周りのためにココに気をつけている」といったポイントはありますか?