「日本への赴任が決まったら、親族を続々呼び寄せる」母国に絶望したネオ中国人たちの驚きの行動

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残酷なほど厳しい競争に苛まれ、希望すら持てない-中国の若者を取り巻く環境は過酷だ。「昇龍」と言われた経済大国は、どこへ向かうのか。遠くて近い隣人の素顔を明かす。

前編記事『温泉付きホテルを3億円で購入…!快適な老後を日本で過ごすと決めたリッチ中国人たちの驚きの言動』の続きである。

一族で移住を計画

続々と日本に移住してくる「ネオ中国人」は、経営者や士業を営む人たちばかりではない。今後増えると予測されるのが楊建偉氏(30代後半、仮名)のようなケースだ。

楊氏が取材場所に指定したのは、池袋にある中国人向けのカラオケバー。バーといっても、隣に中国人ホステスが付くので、キャバクラといった方が正しいだろう。数年前は日本人がよく利用していた店で、当時の料金は1時間3000円。いまは中国人利用客ばかりなので、8000円に値段を上げたという。

楊氏は、中国の巨大IT企業の日本支社に勤めている。基本年俸2000万円に加えて、600万円の海外手当の収入がある。彼はいま、日本で新製品のPRを行いながら、ある計画を実行中だ。

「『家族滞在ビザ』で妻と子供を日本に呼び寄せ一緒に暮らしていますが、今後は親族も呼び寄せる予定です。まず、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で、私が勤める会社の子会社のスタッフとして勤務させます。その後は、親族の誰かが日本の永住権を取得する。日本の永住権は、高待遇の外国企業駐在員であれば取得要件が非常に緩い。できるだけ早い取得を目指して、その後、一族の資産を日本に分散させる計画です。

いま中国人の間では、私のように本国から海外への赴任が決まった瞬間に、一族で完全移住を目指すのがトレンドになっています。日本には『蜘蛛の糸』の話があるでしょう? 海外赴任は、私たちのように優秀で真面目な中国人ビジネスマンの目の前に垂らされた蜘蛛の糸なんですよ」

3時間の取材を終えると、楊氏は記者と彼が連れてきた友人、合わせて3人分の会計18万円をカードで支払った。

「ボトルを2本入れたから安くはないが、高くもない。それでも十分満足できる。まるでいまの日本のようです。だからこの店が好きなんですよ」

ブランド品に身を包んだ楊氏と任氏に共通するのは、一見するだけではどこの国の出身かわからないことだ。観光客のように大声で騒ぐこともないので、日本社会のなかに交じっても中国人だとは気づかれないだろう。

おカネはある。家族もいる。中国人の仲間もいる。日本語ができなくても、中国語と英語でなんとかなる。街には中国人専用の飲食店やスーパーもある。中国の苦しい現実から逃れてきたネオリッチたちは、日本人に知られることなく、都会の片隅でひっそりと暮らし始めている。

「週刊現代」2024年9月14・21日合併号より

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