ズルい? 渋滞時の「先頭合流」に賛否!? まだ勘違いしてる? NEXCOも推奨する「ファスナー合流」 みんな理解で渋滞緩和に効果アリ
渋滞時の先頭合流はずるいのか?
高速道路各社では渋滞緩和対策として、インターチェンジ合流部での「ファスナー合流」を呼びかけています。
これに関しては一部のドライバーから「ズルい」という声も聞かれますが、一体どのような対策なのでしょうか。
9月の連休には、クルマでレジャーに出かけるという人もいるでしょう。
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特に高速道路を走行する場合、ルートによっては渋滞が想定されるため、事前に事故・混雑情報などをチェックしておくことが大切です。
なおNEXCO西日本のウェブサイト「渋滞原因解説」によると、交通の集中による渋滞が発生しやすいポイントとして、以下の場所を挙げています。
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1.上り坂およびサグ部(交通集中渋滞の約58%)
2.トンネル入り口部(約20%)
3.インターチェンジ合流部(約14%)
4.料金所部(約1%)
5.その他(約7%)
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1の「サグ部」とは、下り坂から上り坂にさしかかる場所のことをいいます。
サグ部ではドライバーが上り坂に気付かず自然と速度低下してしまうケースが多く、後続車が次々とブレーキを踏むことで渋滞が発生します。
2のトンネル入り口部においては、トンネルの暗がりや圧迫感によって一時的に速度を緩めてしまうクルマがあるため、後続車両がブレーキを踏んで渋滞が起きやすくなっています。
また3については、インターチェンジから合流してくる車両に合わせて本線を走る車両が速度を落とし、流れが停滞してしまうことが渋滞の原因です。
そして4の料金所では料金の支払いにともなって車両が停止したり、速度を落としたりするため渋滞につながります。
これらの交通渋滞に関して高速道路各社では、車線を増やす・ETCを整備する・渋滞ポイントの情報を提供するなど、ハード面とソフト面の両面でさまざまな対策をおこなってきました。
その中でも現在ソフト面の対策として推進されているのが、インターチェンジやジャンクションなどから本線に合流する際の「ファスナー合流」です。
これは本線に合流する車両が加速車線の先頭まで進み、本線を走る車両との譲り合いによって1台ずつ交互に合流していくという方法です。
合流車両→本線走行車両→合流車両→本線走行車両…という順番でファスナーの噛み合わせのように合流するため、その名称で呼ばれています。
このファスナー合流をスムーズにおこなうためには本線を走っている車両が加速車線の先頭にいる車両に道を譲る必要がありますが、SNS上においてはファスナー合流に対して「ずるい。絶対譲りたくない」「順番抜かしだと思う」など否定的な意見も聞かれ、心情的に抵抗があるというドライバーも少なくありません。
しかしNEXCO中日本が2019年11月から開始したファスナー合流の効果検証においては、渋滞を緩和する一定の効果がみられています。
具体的には渋滞による損失時間が約3割減少したほか、渋滞している区間(名神高速道路 岐阜羽鳥IC〜一宮IC間)の通過時間が約3分短縮されました。
実はファスナー合流をすると、それぞれの車両が好きなタイミングで合流することがなくなって交通の流れが良くなるため、結果的に渋滞が緩和されると考えられています。
このような効果から高速道路各社ではファスナー合流を推奨しており、場所によっては「○km先 交互合流」「渋滞軽減のため交互合流を」などと表示した標識も設置されています。
渋滞時、本線に合流する車両は加速車線の途中ではなく先頭まで進んで合流すること、また走行車線を走る車両も状況をみながら加速車線の車両に道を譲ることを意識すると良いでしょう。
渋滞予防運転ってナニ? 4つのポイントとは?
そのほかNEXCO東日本のウェブサイトでは、「渋滞予防運転」の4箇条として次のように掲載しています。
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1.無意識な速度低下に要注意!
上り坂やサグ部などでのわずかな速度低下が渋滞の原因となります。
2.車間距離を確保!
クッションの役割を果たし後続車にブレーキが伝わるのを防ぎます。
3.むやみな車線変更を控える!
むやみな車線変更は、後続車にブレーキを踏ませ、渋滞を発生または悪化させる原因となります。
4.速やかな速度回復!(渋滞時)
道路情報板や渋滞ポイント標識などで渋滞の先頭位置をお知らせしています。渋滞通過後は速やかな速度回復をお願いいたします。
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とりわけ車間距離を詰める、無理な車線変更をするといった運転は交通事故の原因にもなるため注意しましょう。
このように、渋滞の予防・緩和にはドライバー一人一人の運転意識も重要です。
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ファスナー合流については「横入り」や「ずるい」などと誤解しているドライバーが少なくありませんが、実際は渋滞を緩和する対策のひとつです。
合流する側も、本線で道を譲る側も、お互い気持ちの良い運転ができるよう心がけましょう。