「子宮内膜症」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

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卵巣がんは、初回治療によって治ったかのようにみえても再発のリスクが高いがんです。がんの再発や転移を知らされることは、治癒を目指していた患者さんにとって計り知れないショックでしょう。

そこで今回は、卵巣がんが再発・転移した場合の治療法や経過観察の進め方などを解説します。心と体の痛みを和らげる緩和ケアも説明するので、ぜひ最後までお読みください。

≫「卵巣がんの症状」はご存知ですか?原因・セルフチェック法も医師が解説!

監修医師:
阿部 一也(医師)

医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

卵巣がんとは?

卵巣がんは、卵巣に発症する婦人科系の悪性腫瘍です。初期の段階では自覚症状がないため、早期発見が難しいがんの1つです。症状としては腹痛・しこりなど腹部に違和感がありますが、見過ごされることも少なくありません。腫瘍が大きくなるにつれ下腹部の膨満感は強くなり、ウエストが苦しくなることで婦人科を受診して気付く場合もあるでしょう。
また、卵巣がんは初回治療でうまく治ったようにみえますが、再発は治療後2年以内と早い時期に現れることも少なくありません。特に進行がんでは2年以内に55%、5年以内に約70%以上の患者さんが再発するという報告もあるので、治療後も引き続き注意が必要です。
担当の医師や看護・緩和チームのサポートを仰ぎながら、根気強く経過観察を続けてください。

卵巣がんが再発・転移した場合の治療法は?

卵巣がんは、治ったかのようにみえたがんが治療後に再び出現して再発することがあります。また、腹部の後腹膜リンパ節に転移したり、肺・肝臓・脳・骨などに遠隔転移したりすることもあるので注意してください。
このように卵巣がんが再発・転移した場合は、薬物療法が主な治療法になります。使用する薬剤は、白金製剤を使った初回治療から再発までの期間によって決まるでしょう。
以下に、治療法を説明します。

再発までの期間が6ヵ月未満の場合の薬物療法

再発までの期間が6ヵ月未満の場合は、白金製剤の効果が出にくいがんであるため、前回とは異なる抗がん剤を用いた薬物療法を行います。担当の医師は、これまでの経過観察や患者さんの状態を踏まえて薬剤を決定します。場合によっては放射線療法や緩和ケアを勧めることもあるでしょう。

再発までの期間が6ヵ月以上の場合の薬物療法

再発までの期間が6ヵ月以上の場合は、前回同様に白金製剤を中心とした複数の細胞障害性抗がん薬を検討します。これらの薬物療法が功を奏した場合は、維持療法を追加で行うこともあるでしょう。また、緩和ケアや再発した部位への放射線療法が検討されることもあります。

放射線療法

がんに放射線を当ててがん細胞を破壊することで、がんを消滅させたり小さくしたりする治療法です。卵巣がんでは、初回の治療として放射線治療が行われることはありません。
ただし、再発した場合は痛みや出血などの症状を和らげるため局所的に放射線治療を行うことがあります。また、脳に転移が認められた場合には症状の緩和に加え、予後の改善のため放射線療法を行うこともあるでしょう。

卵巣がん治療後の経過観察の目的と詳細

卵巣がんは、治療後も合併症や再発リスクの高いがんです。卵巣がんの治療後、経過観察は以下のような目安で行われます。

経過観察の目的

治療後の再発・転移の早期発見と合併症・後遺症の早期治療を目的に、経過観察を行います。卵巣がんに精通した婦人科の医師による注意深い腹腔内の検査とともに、術後も長期に渡り経過観察を続けることが重要でしょう。

治療後1~2年目の経過観察の頻度

治療後1~2年目は、1~3ヵ月ごとに経過を観察します。

治療後3~5年目の経過観察の頻度

治療後3~5年目は、3~6ヵ月ごとに経過を観察します。

治療後6年目以降の経過観察の頻度

6年目以降は、1年ごとを目安に、経過観察をします。

経過観察で行われる検査内容

問診・内診・直腸診および経腟超音波断層法検査を行います。また、患者さんの身体の状態や治療内容によっては、腫瘍マーカー検査・CT検査なども組み合わせて確認します。

卵巣がん手術後の緩和ケアとは?

緩和ケアとは、がんそのものによる症状や治療に伴う副作用などの軽減のためにオピオイド鎮痛薬などを中心とした薬物療法のことです。早期から終末期までのすべてのがん疼痛が対象となっており、大半のがん患者さんが経験する肉体的な痛みだけでなく、心理的・社会的な辛さを和らげる治療です。

心と体の辛さを和らげる

患者さんの多くが経験する痛みから解放されることは、大切な治療の基本といえるでしょう。緩和ケアによって心と体の辛さや痛みをうまくコントロールしながら、卵巣がんとうまく共存していくことが必要です。医療用麻薬を使用するネガティブなイメージから緩和ケアを拒絶するのは得策ではありません。
WHO(世界保健機関)方式がん疼痛治療法では、鎮痛薬を適切に使用することで80%以上の患者さんが痛みから解放されることがわかっています。がん患者さんは痛みから解放されることで体力・気力を取り戻し、根気強く治療に専念できるでしょう。本人にしかわからない辛さであっても積極的に担当の医療者に伝えるようにしてください。

さまざまな専門職からなるチームが支えてくれる

緩和ケアは、基本的に担当の医師や看護師が中心となって行いますが、必要に応じてさまざまな専門職からなるチームが支えてくれます。医療用麻薬は、医師の管理のもと適切に処方されている場合は中毒になる恐れはありません。体に痛みがあると気持ちが沈みがちになり、食欲不振・不眠など心にも悪影響が出てきます。
痛みを感じたら我慢するのではなく、担当の医師・看護師・緩和チームに相談してください。経済的な不安も含め、さまざまな専門職からなるチームが患者さんの心と体をサポートしてくれるでしょう。

卵巣がんの再発についてよくある質問

ここまで卵巣がんの再発について発症原因や治療方法などを紹介しました。ここでは「卵巣がんの再発」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんが再発した場合どのような症状が出ますか?

阿部 一也 医師

初回の切除手術でがん細胞を完全に取り除くことができなかった場合や、がん細胞がほかの臓器や部位に転移して増殖した場合は、再発の可能性があります。転移先の部位によって症状は異なりますが、卵巣がんが再発した場合の一般的な症状には、腹痛・食欲不振・体重減少などがあげられます。手術後には、腸閉塞・リンパ嚢胞・リンパ浮腫などの合併症が起きることがあるかもしれません。発熱・痛み・嘔吐など、不快な症状は我慢せず担当の医師や医療スタッフに相談してください。

卵巣がんの再発を予防する方法はありますか?

阿部 一也 医師

再発した場合は、抗がん剤を使用した薬物療法が主な治療法です。維持療法と呼ばれる再発予防の化学療法には、PARP阻害薬による内服治療・ベバシズマブによる点滴治療・両者を組み合わせた治療があります。

編集部まとめ

卵巣がんは早期発見が難しいがんの1つであるため、進行した段階で見つけられることも少なくありません。

治療には切除術と抗がん剤治療を行いますが、がんの転移が広範囲に及んでいる場合は先に化学療法を行ってがんを小さくしてから手術する場合もあるでしょう。

手術だけで完治することは稀で、再発率は3分の1におよびます。そのため、手術後にも引き続き化学療法を行うのが一般的ですが、卵巣がんのような婦人科のがんには使えない抗がん剤はありません。

卵巣がんは、術後も経過観察をしながら根気強い治療が必要となります。再発した場合でも自分らしいQOLを大切に、担当の医師に相談しながら無理せず治療を進めてください。

卵巣がんと関連する病気

「卵巣がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

卵管がん腹膜がん子宮内膜症

卵巣がんは卵巣に、卵管がんは卵管に発症する悪性腫瘍です。腹膜がんは腹膜に発生する悪性腫瘍ですが、卵巣がんとの関連性が高いがんとしても知られています。また、子宮内膜症を放置しておくと、一部の患者さんは卵巣がんを発症する可能性があるので注意しましょう。

卵巣がんと関連する症状

「卵巣がん」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

初期段階では自覚症状がない

服のウエストがきつくなった

脚のむくみ

消化不良や食欲不振

頻尿や便秘

下腹部にしこりがあり触れる

卵巣がんは初期症状に気付きにくいため、見つかった時点で進行している場合が多いがんです。上記のような症状を感じた方は、なるべく早めに婦人科を受診しましょう。

参考文献

卵巣がん(日本赤十字社医療センター)

卵巣がん・卵管がん 治療(国立がん研究センター)

卵巣がん・卵管がん全ページ表示(国立がん研究センター)