野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9~13時) 8月26日の放送では月曜レギュラーのカンニング竹山が、福島第一原発について解説した。

邦丸「今日、竹山さんが取り上げるのは、福島第一原発のデブリ取り出し手順ミスについてです」

竹山「これは22日に起こったみたいで、23日に齋藤経済産業大臣が東京電力ホールディングスの小早川社長を経産省に呼んで、要は「しっかりしろ」と、原因究明を求めたというニュースになっています。大雑把に言うと、デブリを取り出す作業を開始しようとしたのに、東電がミスってできなかったというニュースなんですけども、もう一度改めて、東京電力福島第一原子力発電所、通称「イチエフ」の状況を説明しますね。

1号機、3号機、4号機が水蒸気爆発とかして、デブリという非常に危ない放射性物質なんかが下に溶け出してる状態です。そのデブリというものを取らなきゃいけないんですけど、細かいゴミみたいに部屋中のいたるところに引っ付いたりしています。これに近づくと人間は死にます。じゃあ、それがどれぐらいあるのかっていうと、デブリだけで約880トンあります。今までもデブリのところに、いろんな機械やロボットを入れて、どんな状態か見ようとか、ちょっとずつ取り出そうというのをずっとやってるんですけど、放射能が高いから機械を入れたら結構ぶっ壊れます。

今回は、ちょっと取り出そうという作業をしたんですね。でも、取り出す量は880トンのうち、どれぐらいかというと数グラムです。本当にスプーン一杯とか、それぐらいを取り出して、こっからどうするか考えようという作業だったんです。

だから一見このニュースは、デブリの取り出し作業が始まったのに失敗して「何をやってんだ」と東電が怒られたという感じになりますけど、実はちょっと違います。取り出すなんていうのは、到底、先の先の先の話です。もう全然取り出せないんですね。というのが、今の「イチエフ」の現状なんです。

原発推進・反対の話はちょっと皆さん置いといてくださいね。これ置いとかないと話にならないんで。東電は今、その作業をしようとしてます。この間、NHKの『100カメ』っていうオードリーの番組でも、作業員の人がいかに頑張っていらっしゃるか追っていたんですけど、なかなか廃炉作業というのは無理なんです。でも廃炉にしない限りは、もうやり方がないわけですよ。そうじゃなかったら、旧ソ連、今のロシアにあるチェルノブイリみたいに石棺で固めるってことをやらなきゃいけない。簡単に言うと石で固めるんですよ」

邦丸「分厚いコンクリートで巨大な墓のようにしなきゃいけない」

竹山「でもそうなっても、何万年と放射能は出るから、結局、その一帯には暮らせないし、未来永劫、見張っていかなきゃいけなくなってしまう。その方法を取らずに、日本と東電は何をやっているかというと、デブリを取り出して、綺麗にして、廃炉にしようという作戦を選んでるわけですよね。

それに対して僕は、賛成も反対もないです。綺麗に廃炉にするためには、それをやらなきゃいけないんだけども、とてつもない時間がかかります。

僕が何を言いたいかというと、東電を擁護とかそういうことじゃないんです。事故が起こったのは東電が悪いですよ。それはハッキリ言います。東電が悪いし責任もあります。ただ、廃炉にするには、まだまだ長い目で見ていかないと、なかなか終わらない。そして働いている方、研究してる方もめちゃくちゃ頑張っていらっしゃいます。

原子力発電所の周りには、日本有数の大企業、技術会社とか建設会社の実験施設がめちゃくちゃあるんですね。そこでロボットの研究をしてます。「イチエフ」の中にもいろんな機械が入っていて、ちょっと皮肉なものですけど、日本で一番最先端の土木工事とかロボット技術とかを使ってるんです。ただ、技術の粋を集めてロボットを作ってるんですけど、やっぱり放射能という目に見えない恐ろしいものには、なかなか立ち向かえないんです」