変わる山の物流網

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余暇に北アルプスを縦走した。大自然の雄大さと美しさを目の前にすると、人間の小ささを感じる。厳しい環境でも力強く生きる、高山植物にも癒された。

▼登山の楽しみはいろいろあるが、食事もその一つ。自分で作るのも良いが、今回は標高2千400mにある山小屋グルメを堪能しようと定食を注文すると、刺身や新鮮な野菜が並んでいて驚いた。約40年前に祖父に連れられ富士山に登頂した時には、食事といえば麺類かカレーが主流だった記憶がある。

▼山の物流網はかつて「歩荷(ぼっか)」と呼ばれる、歩いて山小屋に荷揚げする人たちに頼っていた。いまは交通機関の発達や人手不足で歩荷は減少しヘリコプターによる空輸が中心だ。ただ天気が変わりやすい山へ向かうには操縦士の技術が必要とされ、輸送費が高騰している。代わりに、短時間でこまめな搬送が可能な大型ドローンによる実証実験が進み、本格化が期待される。

▼配送中の事故や盗難などまだまだ課題は山積するが、実用化されれば山小屋の風景も変わっていくかもしれない。そんな未来を想像しながら、この連休は山で一日過ごしたい。