荷主の「8時だヨ! 全員集合」で発生するトラック大行列! ドライバーを苦しめる数時間にも及ぶ「荷待ち」の未だに見えぬ解決策
この記事をまとめると
■ドライバーの多くが長時間の「荷待ち」を経験している
■「荷待ち」は長いときには3時間以上も待機させられることもある
■「荷待ち」の状況と改善策について解説する
業界全体での体質改善が不可欠
物流業界の2024年問題、働き方改革関連法の同業界への本格適用=ドライバーの時間所定労働時間の上限規制(年間960時間)が適用され、ドライバーの過剰労働のひとつとしてクローズアップされているのが、納品前もしくは積み込み前の長時間待機「荷待ち」だ。これは、物流現場を取り仕切る荷主側による「8時だヨ! 全員集合」といわんばかりの集荷もしくは着荷の時間指定の慣習が起因となっている。
「8時」というのはあくまで一例だが、荷主がすべての運送業者=ドライバーに同じ時間を指定したら、そこには何台、多いときは数十台ものトラックが集中することになる。そしてそこからは荷下ろしもしくは積み込みの順番待ちが発生してしまう。そしてドライバーは早くて数十分、長くて数時間もの「荷待ち」と呼ばれる待機時間を余儀なくされてしまうのだ。
トラック魂編集部でもかつて連載していたトラックドライバーの仕事密着ルポ「トラッカー24時」の取材にてその荷待ちに立ち会ったことが何度もあり、長いときには3時間以上も市場や倉庫の構内で行列を作りながら待機させられるトラックとドライバーの姿を見てきた。その荷待ちの間は、荷役(積み込みもしくは荷下ろし)が可能になる時間が指定されることはまれで、自分の順番が来るまでドライバーは車内で寝ずに待たなければならない。その荷待ちの現場がトラックの行列ともなれば、その都度愛車を前へ前へと動かさなければならない。
そしてやっと自車の荷役の順番が来たら、そこからは荷降ろしもしくは積み込みの作業が始まる。パレット積みの荷物をフォークリフトで積み下ろしするならまだいいが、手降ろしや手積みという重労働の現場も少なくない。手作業ともなればその時間もまた長くなる。
この荷待ちの時間短縮はドライバーはもちろん、運送会社でもどうすることもできず、すべては荷主の都合に合わせざるを得ない。「8時だヨ! 全員集合」状態の現場では、おそらく荷主側もどの運送会社のトラックが何時頃に荷役できるかということは把握していない、いや把握できないというのが現状だろう。
これを改善するためには、荷主と運送会社、もしくは着荷主と発荷主(仕入先)の間で分単位での荷降ろしもしくは積み込みの時間といった取引条件の見直しが必要となる。
政府は昨年6月に荷待ちや荷役作業の時間を2時間以内に短縮するガイドラインを策定。さらに2月13日の閣議で事業者に運転手の荷待ち時間を減らす計画の作成を義務付け、違反すれば最大で100万円の罰金を科すという物流二法の改正案を決定したが、それを厳密に施行させるには「8時だヨ! 全員集合」の時間指定の慣習を根本的に改めるなど、業界全体での体質改善の取り組みが不可欠だ。とくに荷主側の運送会社=ドライバー側への意識改革が重要となってくることだろう。
2024年問題の解決はもちろん、これまで無駄な荷待ち時間よる体力的な負担やストレスを強いられてきたトラックドライバーの労務環境の大きな改善につながることも間違いない。