動物実験施設で5年間過ごし、喜んだり楽しんだりする経験が一切なかったビーグル犬“バークレー”(『Stay_Weird TikTok「Welcome to our loving home.」』より)

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ほとんどの犬がおやつを貰ったり散歩に出かけたりすると喜びを露わにするが、アメリカのある家庭に迎えられた犬は保護されるまでそんな経験をしたことがなかった。犬は5年間、動物実験施設で過ごした後に保護され、新しい飼い主のもとで初めて喜びを感じるようになったという。動物専門ネットサイト『The Dodo』などが伝えている。

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米ワイオミング州プラット郡ハートヴィルにある動物保護施設「カインドネス・ランチ・アニマル・サンクチュアリ(Kindness Ranch Animal Sanctuary)」は、通常の動物保護に加え、国内で唯一動物実験施設の動物たちを保護している。アメリカでは通常、実験用の犬は役割を終えると殺処分されるが、そんな犬たちの命を救うために活動しているという。

コロラド州在住のイヴォンヌ・ホランさん(Yvonne Horan)は今年5月、同動物保護団体からオスのビーグル犬“バークレー(Barkley)”を引き取った。バークレーは動物実験施設で5年間過ごし、実験用の犬としての役割を終えた後、同動物保護団体によって保護されていた。

バークレーはすべての歯が抜歯されており、イヴォンヌさんは「何があったのかは知りませんが、歯が全て抜かれていることだけは分かっています」と述べている。またバークレーは、普通の犬が楽しむような経験ができなかったためか、喜んだり楽しんだりする術を知らなかったようだ。イヴォンヌさんは動物専門ネットサイト『The Dodo』の取材に応じ、このように語っている。

「バークレーはおやつをあげても、それが何なのか分からないようでした。それに、他の2匹の先住犬との遊び方も知らなかったのです。」

しかしイヴォンヌさんは、バークレーがこれまでどのような扱いを受けたのか、あまり考えたくはないという。

「バークレーの過去のことは考えないようにしています。私たちはただ、『今この瞬間を大切にして、この子の残りの人生をできる限り最高のものにしてあげよう』って考えているんです。」

イヴォンヌさん一家のもとに来た初日の夜、バークレーは少し緊張した面持ちでベッドに小さく横たわって休んでいたそうだ。ところがその数日後、先住犬と一緒に裏庭に出たバークレーは、庭に置いてあったぬいぐるみをくわえて、嬉しそうに尻尾を振りながら庭中を駆け回り始めた。

嬉しそうなバークレーの姿に、イヴォンヌさんは「尻尾を振ってとても幸せそうで、私たちは本当に心躍る気分でした」と明かしている。どうやらバークレーは、オモチャで遊ぶ先住犬を見て、「オモチャは楽しいものだ」と認識したようだ。そんなバークレーの動画をイヴォンヌさんが5月15日、TikTokに投稿したところ次のような声が寄せられた。

「この子が欲しがる全てのオモチャを与えてあげて!」
「見てよ! この子ったら、オモチャを手に入れたことがどんなに嬉しかったのかしら。」
「ああ、なんて可愛らしいのかしら。動物実験って酷すぎる。この子を救ってくれてありがとう。」
「もう、全部のオモチャをあげてほしい。愛してるよバークレー。素敵な人生を送ってね。」

多くの人が、オモチャを手に入れたことで初めて喜びを知ったバークレーの姿に胸を打たれたようだ。またイヴォンヌさんは、バークレーの動画が多くの人に動物実験の実態について知ってもらうきっかけになってくれることを願っており、「まだ多くの犬たちがこんな状況下に置かれて、実験が終わったあとに新しい家族を必要としているんです」と訴えた。

多くの人がイヴォンヌさん一家に迎えられたバークレーは幸運だと捉えているようだが、イヴォンヌさんは「本当に幸運なのは私たちの方なんですよ」と述べ、バークレーからたくさんの幸せをもらっているそうだ。

画像は『Stay_Weird TikTok「Welcome to our loving home.」「He’s so happy and gaining confidence.」』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)