こちらは「りょうけん座(猟犬座)」の方向約1450万光年先の矮小不規則銀河「NGC 5238」です。矮小銀河は天の川銀河と比べて規模が100分の1程度の小さな銀河で、数十億個ほどの恒星が集まってできています。そのなかでも星やガスが不規則に分布しているものは矮小不規則銀河と呼ばれています。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影された矮小不規則銀河「NGC 5238」(Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Annibali)】

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータをもとに作成されました。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、現在観測されているNGC 5238は別の銀河と遭遇してから10億年以内の姿だと考えられており、銀河どうしの重力を介した相互作用による歪みが見られるといいます。ところが、近くには歪みをもたらしそうな銀河が見当たらないことから、歪みの原因となったのはNGC 5238に飲み込まれた衛星銀河(伴銀河)だったという仮説が立てられています。


現在の宇宙に存在する大きな銀河やその集合体である銀河団といった天体は、星団や小さな銀河が合体を繰り返すことで初期の宇宙から長い時間をかけて形成されてきたと考えられています。矮小不規則銀河と小さな衛星銀河の合体は初期の宇宙で起きていたことと同様の出来事である可能性があり、NGC 5238は天体物理学におけるいくつかの基本的な予測を検証する上で役立つ可能性があるということです。


冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2024年7月15日付で公開されています。


 


Source


ESA/Hubble - Assembling the largest galaxies

文・編集/sorae編集部