作家の羽休み――「第100回:不定期更新のお知らせ」
当コラムは、SNS代わりの生存報告、与太話、半分くらいは告知という、「コラムと言っていいのかこれは?」と我ながら首を傾げたくなる自転車操業で今日まで進めて参りました。が、この度なんと、連載100回を迎えることが出来ました!
これも、こんなド辺境コラムにまで目を通して下さった奇特な皆様のおかげです! 本当にありがとうございます!
思い返せば、このコラムは4年前、『楽園の烏』を出しますと宣言したタイミングで出版することが出来ずに、「謝罪文」を書いた直後、狂った刊行予定の間を持たせることを目的として始まりました(第1回:コラム始めます)。
実は今の担当さんは、立ち上げ当時の編集さんです。(文春はびっくりするほど部署異動が多いのですが、なんと異動に異動を重ね、一周回って元の担当さんが第二文藝に戻ってきてくれたのです!)当時はこんなに長く続くとは思っていなかったということもあり、一緒になって「いやはや、感慨深いですねえ」などとほのぼのと言い合っていたのですが、私はふと気付いてしまいました。
「いや……このコラム……もともと『楽園の烏』の息抜きの予定でしたよね?」と。
『楽園の烏』が刊行されたのは2020年です。もう4年も前です。刊行どころか、とっくに文庫化までされています。なんか編集さんが「もうやめてええで」と言わないのでなんとなくここまで続けてきてしまいましたが、ネタに困って私の恥をさらす失敗談を山のように世に出す必要など、本来なかったのでは……?
それを言うと編集さんは「あ、とうとう気付いちゃったか」みたいな顔になりました。
気付いていたのなら、なんでさっさと言ってくれなかったんでしょう!? もし作家・阿部智里に「目にマニキュアさしたり、鳩と戦ったりしている人」みたいな残念なイメージがついてしまったとしたら、このコラムのせいなのは疑いようがありません。自業自得とはいえ「やっちまったかもな……」という気持ちが今更ながらふつふつと湧いて参りました。
というわけで、今後、当コラムは不定期更新となります。
「ファンタジーを書いている真面目な作家」みたいな堅実なイメージに戻るにはもはや手遅れな気もしますが、別にこれ以上、やっちまった話を世にさらさなくてもいいだろうよと至極冷静に判断を下しました。
あと、『望月の烏』を過去最悪のタイトスケジュールで書き上げた時に偶発的に判明したのですが「私、一気にひとつの原稿に集中したほうがやりやすいし進みも圧倒的に早いな?」と分かってしまったということもあります。デビュー12年目にして今更の気付きではありますが、私の本分は小説を書くことです。八咫烏シリーズはクライマックスを迎えておりますし、今後はより本編の原稿のほうに集中していこうと思います。
とはいえ、これで最終回というわけでは全くありませんので、今後もまた何かあれば戻って参ります!
引き続き、「作家の羽休み」をよろしくお願いいたします!
これからも更新を楽しみにお待ちいただけますと幸いです
©阿部智里
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc