夏のカーエアコンで燃費が悪化! 「25度設定」が良い理由は? 押すと燃費が悪くなる“意外なスイッチ”とは?

写真拡大 (全2枚)

カーエアコンは「25度」が最適な理由とは?

 夏場のドライブで欠かせない「カーエアコン」ですが、使い方を誤ると燃費が悪化し、車内の快適性も損なわれてしまいます。
 
 そこで推奨されているのが「25度」の温度設定です。一体なぜ25度が良いのでしょうか。

カーエアコンは「25度」が燃費に最適ってホント?

 国産車ではカーエアコンの設定温度は25度が最適とされています。この数値は、自動車部品パーツメーカーのカルソニックカンセイ株式会社(現:マレリ社)が2017年に公表したものです。

【画像】「えっ…!」これが押すと燃費が悪くなる「スイッチ」です! 画像を見る(18枚)

 同社は、カーエアコンの設定温度と燃費の関係について詳細な研究を実施し、25度が最も効率的な温度であると結論付けました。

 カーエアコンの設定温度が適切でないと、燃費が大幅に悪化します。

 環境省が発表した「エコドライブ10のすすめ」によると、外気温が25度の場合、カーエアコンを使用すると燃費が約12%も低下する結果が示されており、この数字は、カーエアコンが燃費に与える影響の大きさを表しているといえるでしょう。

 また、25度という温度設定は、燃費面だけでなく熱中症対策の観点からも適しています。

 環境省の「熱中症環境保健マニュアル」では、気温が25度以上になると熱中症の警戒レベルに達し、車内の快適性にも影響を及ぼすとされ、特に高齢者や子ども、持病のある人は熱中症のリスクが高まるため注意が必要です。

 つまり、カーエアコンの設定温度を25度にすることで、燃費の悪化を抑えつつ、熱中症のリスクも軽減できるというわけです。なお、欧州車では22度が適切とされています。

 ただし、外気温が非常に高い場合や、車内に多くの人が乗車している場合など、状況によっては25度よりも低い温度設定が必要になることもあります。

 あくまでも25度は目安であり、その時々の状況に応じて柔軟に対応することが大切です。

 そして、カーエアコンの燃費への影響を考える上で、設定温度以上に重要なのが「A/Cスイッチ」です。

 A/CスイッチをONにすると、燃費に大きく影響するコンプレッサーという装置が作動。

 コンプレッサーとは、気体を圧縮して送り出すための機械のことで、多くのクルマではエンジンの力でこのコンプレッサーを動かしているのですが、作動させると燃料を消費するため燃費が悪化してしまうのです。

 一方、「AUTOスイッチ」は車内を快適な温度に自動調整してくれる機能ですが、このAUTOスイッチをONにすると、状況に応じてA/Cスイッチも自動でONになることがあります。

 カーエアコンを使用する際は、設定温度よりもA/CスイッチやAUTOスイッチのON・OFFに注意を払うことが大切となり、無駄なスイッチ操作を控えることで燃費悪化を抑えることができるでしょう。

 ほかにも、カーエアコンを使用する際、「内気循環」と「外気導入」の使い分けも燃費や快適性に大きな影響を与えます。

 実際に高速道路や市街地、山道などで走行し、車内の環境を検証したところ、外気導入モードでは、車内のCO2濃度は常に1000ppm前後で安定していました。

 一方、内気循環モードでは、最大で6770ppmにまで上昇し、数値の面だけでなく、乗車している人の中には眠気や頭痛を訴える人もいたといいます。

 暑い車内を一刻も早く冷やそうとするとき、内気循環モードにする人がいるかもしれませんが、それは間違いです。

 正しい方法は、窓を開けて車内の空気を入れ替え、次に外気導入モードに切り替え、車内が冷えてきたら内気循環モードに切り替えるのが効果的。

 ただし、外気温が高い雨天の場合は、外気の湿度が高いため、エアコンと内気循環の併用が推奨されます。状況に応じて適切なモードを選択することが、快適で燃費の良いドライブにつながるのです。

 また、エアコンフィルターを定期的に清掃・交換することも重要です。フィルターが汚れていると、外気導入モードでも車内に清浄な空気が取り込めなくなるので、フィルターのメンテナンスを怠らないようにしましょう。

※ ※ ※

 カーエアコンの燃費と快適性を両立するには、設定温度を25度に保ち、スイッチのON・OFFを適切に切り替え、内気循環と外気導入を賢く使い分けることが重要です。

 状況に応じた操作を心がけ、無駄なエアコン使用を控えることで、暑さが厳しくなるこれからの季節でも、経済的で快適なドライブが実現できるでしょう。