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 14年ぶりの夏の甲子園を目指す旭川実が、旭川南を7回コールドで下し、支部代表決定戦に進んだ。プロ注目の最速151キロ右腕・田中稜真主将(3年)は6回を投げ、2回1死から11者連続を含む15奪三振の快投。同校OBでロッテ育成選手の兄・楓基投手(20)が果たせなかった夢の舞台へ向け、最高のスタートを切った。

 田中の最後の夏は、ド派手な奪三振ショーで幕を開けた。初回から直球主体にテンポ良く投げ込むと、2回1死からは次々と打者のバットが空を切り、11者連続で三振を奪った。6回72球を投げ、打者18人に対し15奪三振、無安打無四球の完全投球。7回には涼しい顔でマウンドを譲った。

 「夏の初戦の独特な雰囲気を感じながら真っすぐを主体に、あまり力を入れず、フォームを意識して丁寧に投げた。連戦を勝ち抜くため、できるだけ球数を少なくできればと入り、三振は意識していなかった」。それでも気温15度でセーブ気味の制球重視ながら、球場の球速表示は初回141キロが最速だったが、プロ球団スカウトのスピードガンでは147キロを何度も計測した。

 春は収穫と課題を得た。全道大会1回戦の札幌大谷戦では自己最速151キロを記録。兄・楓基の高校時代の最速150キロを超えた。続く2回戦では北海に1―3で敗退。田中は「球の質が良くなく、(バットに)当てられたが、思ったよりも勝負できる感覚もあった。圧倒できる精度や強さを求めたい」と、オフから取り組んできた体重増や筋力アップを継続する。

 今夏は北のドクターKが覇を競う。25日の十勝支部1回戦では帯広農の最速143キロ左腕・渋谷純希(3年)が22三振を奪った。田中は「いずれ戦う可能性があるので楽しみ」とニヤリ。まずは29日の支部代表決定戦で昨年北大会準優勝の旭川明成と対戦。田中の熱い夏は、始まったばかりだ。(武田 政樹)