主将のカゼミーロが選外となったコパ・アメリカでは腕章を巻くダニーロ。(C)Getty Images

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 いつでも、誰にでも、訪れる可能性はある。それは、一見すると成功の人生を歩んでいるような一流のプロサッカー選手にとっても同じことだ。

 ユベントスに所属するブラジル代表のダニーロが、レアル・マドリー時代にうつ病にかかったことを明らかにした。24歳という若さで引退も考えたという。だが今は、セレソンの主将という重責を負ってコパ・アメリカに臨むことに意気込んでいる。

 ダニーロは『The Players Tribune』で「僕は人間であり、常にベストだったのではない。マドリーでの1年目にうつになった。自分を見失い、役立たずと感じた。5メートルのパスもできなかった。ピッチの外でも動けないみたいだった。サッカーへの情熱は消え、出口が見えなかったんだ」と話した。

 さらに、ダニーロは4−1で勝利したアラベス戦でボールロストから失点したことを振り返り、「帰宅して眠れなかったことを決して忘れない。日記に書いた。『サッカーをやめるときが来たと思う』と。24歳だった」と明かしている。

「数か月苦しんで、カウンセリングを始めた。本当にキャリアを救ってくれた。教わった最も大事な教訓は、子どもの目を通じてプレーを見るということだった。自分のルーツ、サッカーをする喜びを思い出さなければいけなかった。お金や名誉のためじゃなく、楽しむためのサッカー。あのときキャリアが救われたことで、感謝しなければいけない。セラピストたちや子どもたちだ」
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 その後もすべてが順調だったわけではない。新型コロナウイルスのパンデミックやカタール・ワールドカップ敗退から、ダニーロは「またうつになることもあり得た」と回想している。

「30歳だった。『素晴らしいキャリアだった。でも最高潮に達した。もう休める』と言うこともできただろう。でも、僕は逆のことをした。セラピストと毎日話すようになり、もっと本を読み始めた。もっと良いリーダーになるために、自分に挑戦し始めた」

 そしてもうすぐ33歳になるダニーロが、ユベントスとブラジル代表の頼れる支柱となったのは周知のとおりだ。ダニーロは「ユベントスの腕章を受け取ったときは素晴らしい名誉だった。でも、ブラジル代表のキャプテンマークは違うものだった。計り知れない、比較できない名誉だ」と話した。

「みんなへの最後のメッセージは非常にシンプル。この戦いのために力を合わせよう。僕らは戦うためにここにいる。戦って、コパ・アメリカ優勝を目指すために」

 ブラジルは6月24日、コパ・アメリカ初戦でコスタリカと対戦する。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部