「重い処分を与えたと見せることで、世間の処罰感情を抑えようとしたんですよ。ほかの芸能事務所だったら、契約解除になっても不思議ではなかった。また、無期限謹慎とは便利な代物で、謹慎の期限を定めていないから、風当たりが弱まったと判断した時点で、いつでも活動の再開が可能。それが広末さんには分かっていなかった」(大手芸能事務所幹部)

 事実、フラーム側は無期限謹慎処分とした時点で、復帰計画を練り始めていた。広末が退社を申し出た際も同社は慰留した。しかし、本人の考えは変わらなかった。

 広末は独立のマイナス面が分かっているのだろうか。まず再び広末が騒動を起こした際、個人では処理が難しい。それだけではない。たとえ俳優に復帰できようが、扱いが今までより悪くなるのは必至だ。 

◆「私が大きくした会社なんだから」

 フラームは広末がドラマや映画に出る場合、主演か準主演級、あるいは特別出演級になるよう努めていた。俳優としての格を保とうとしていた。有村架純や戸田恵梨香らがいるから、バーターなどを持ち出せば難しいことではない。だが、個人で活動するとなると、そうはいかない。

 違約金の問題もある。広末はダブル不倫の発覚に伴い、億単位と見られる違約金の支払い義務を背負った。当初はその支払いを渋り、フラームに押し付けようとしたと報じられた。

「広末さんは『私が大きくした会社なんだから』と口にしたと言われました」(大手芸能事務所幹部)

 結局、違約金は広末が支払うことで決着したが、違約金をめぐるトラブルが報じられると、やはり起用する側は不安になる。広末が騒動を起こした際、金銭面での補償をしてくれない可能性を感じてしまうからだ。

◆個人事務所に対する懸念

 また、これは広末に限ったことではないが、そもそも個人事務所には違約金の支払い能力についての不安がある。違約金は騒動を起こした本人が支払わなくてはならないが、支払い能力がない場合、一時的に所属芸能事務所が立て替える。のちに本人が分割払いなどで返済する。

 しかし、資本力が乏しい個人事務所では立て替えることが出来ない。仕事先はこれを気にする。違約金の金額が大きくなるCM界は特にそうだ。

 広末には俳優としての才能がある。情実の入り込む余地のない、2022年の「キネマ旬報ベスト・テン」で助演女優賞を獲ったことでも分かる。画面やスクリーンのどこにいても目立つ存在感が特に魅力だ。

 半面、芸能人は何をやっても大目に見てもらえる時代は完全に終わった。セルフ・コントロールが強く求められる。はたして広末は個人事務所に向くタイプなのだろうか。

<取材・文/高堀冬彦>

【高堀冬彦】
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員