乗客はするけど「パイロットは絶対にしない」三つの験担ぎとは?
自分が生きて帰れるかわからない……。戦中のパイロットたちの間では、そんな不安を抱えるなか、無事に帰れるように願って、さまざまな縁起担ぎが生まれてきました。その一部は現代にも残っているものもあります。今回はパイロットたちが絶対にしないという三つの験担ぎをご紹介します。
1: 離陸前に飛行機の写真を撮らない
旅行客なら、旅の思い出として空港でよく飛行機の写真を撮るもの。でも、戦中は離陸前に飛行機の写真を撮ることは縁起の悪いことだと考えられていたそう。
第二次世界大戦中にパイロットとして勤務していたというデーブ・トーミーさんは、任務の前日に写真撮影した同僚が、攻撃を受けて命からがら基地に戻ったことがあるそう。そのため、トーミーさんは誰かが自分の飛行機の写真を撮った日には飛行機に乗らなかったのだとか。
そのため、現在でもパイロットの中には、離陸前に飛行機の写真を撮らない人もいるようです。
2: 出発前に「完食しない」
出発前に何かを口にするとき、完食せずに半分だけしか食べない習慣も第二次世界大戦の頃に生まれたそう。あえて半分しか食べないのは、残りの半分は帰ってきたときに食べるため。「必ず無事に帰って完食する」という、パイロットたちの強い願いが込められていたのでしょう。
喫煙していたパイロットたちの多くが、飛行前にタバコを半分だけ吸い、帰ってきたら取っておいた半分のタバコを吸い、無事に帰れた喜びを噛みしめていたのだとか。
3: 飛行機の中で口笛を吹かない
最後の縁起担ぎは、飛行中に口笛を吹かないというもの。これも縁起が悪いと考えられているからです。
世界には口笛に関する迷信が数多くあります。英国には「七人の口笛吹き」と呼ばれる謎の霊がいて、不吉な前兆と考えられているそう。また、ロシアでは口笛が貧困をもたらすと考えられ、船の上で口笛を吹くと嵐を招くと思われているのだとか。
そのため、空の上で口笛を吹くと悪い霊が寄ってきたり、よくないことが起きたりすると考えられているのです。
現代では「飛行機で死亡する確率は、宝くじに当選するより低い」などと言われています。しかし、乗客全員の命を預かるパイロットの中には、万が一のことも考えて搭乗している人がいるのかもしれません。
【主な参考記事】
The Sun. TAKE OFF The common pre-flight behaviour that most passengers do - but pilots hate. June 2 2024