2024年4月25日、povoが新たなトッピング「データ使い放題(7日間)12回分」の提供を開始しました。料金は9834円(税込、以下同)で、1か月に換算すると3278円。この金額は楽天モバイルの月額料金と同額であることから、「povoが楽天に真っ向から対抗した」と話題になりました。

 

本記事では、次第に充実しつつある大手通信キャリア、サブブランド、MVNOそれぞれの無制限プランをピックアップして解説するとともに、通常のプランを「実質無制限」で使えるテクニックなども紹介します。

 

大手4社の無制限プランをおさらい

一般的に、MVNOは小容量〜中容量、サブブランドは中容量〜大容量、大手通信キャリアは無制限プランに強いという傾向があります。そこでまずは、大手通信キャリア4社の無制限プランを一覧で比較してみましょう。なお、ここでは基本的な無制限プランを解説します。

会社名 プラン名 月額料金 割引適用時の月額料金 ドコモ eximo 7315円(3GB超使用時) 4928円(※1) au 使い放題MAX 5G/4G 7238円(3GB超使用時) 4928円(※2) ソフトバンク メリハリ無制限+ 7425円(2GB超使用時) 4928円(※3) 楽天モバイル Rakuten最強プラン 3278円(20GB超使用時)  3168円(※4)
※1:「みんなドコモ割(3回線以上)」「ドコモ光セット割/home 5G セット割」「dカードお支払割」適用時 ※2:「家族割プラス(3回線以上)」「auスマートバリュー」「au PAY カードお支払い割」適用時 ※3:「新みんな家族割(3回線以上)」「おうち割光セット」「PayPayカード割」適用時 ※4:「最強家族プログラム」適用時

 

ドコモ・au・ソフトバンクの3社は、ほぼ横並びと言える月額料金です。割引の仕組みもまったく同じで「3回線以上の家族割引」「自宅インターネットとのセット割引」「系列クレジットカードでの支払い割引」を適用させることで月額4928円と、3社とも同額となります。

 

大手通信キャリアの中で異彩を放つのが、楽天モバイルです。月額料金は3278円と他社の半額以下、さらに最近は割引も拡充され、家族割引「最強家族プログラム」を適用させれば毎月110円割引、ユーザーが22歳までなら毎月110ポイント還元、12歳までなら毎月最大440ポイント還元などが用意されています。楽天モバイルには通信品質の不安がつきまといますが、プラチナバンドの試験電波も発射されて品質改善が期待されるいま、やはり注目したい通信キャリアと言えるでしょう。

 

しかし、無制限プランといえども通信速度制限の可能性があることは覚えておきましょう。ソフトバンクの場合では「200GB/月超で最大4.5Mbpsに速度制限される」となっており、中画質程度の動画なら大きなストレスなく再生できる速度まで制限されます。

 

サブブランド・MVNOの主な無制限プランをおさらい

大手通信キャリアが4社とも無制限プランを展開する一方、サブブランドやMVNOで無制限プランを提供しているところは多くありません。ここでは、新たなトッピングを開始したpovoと、ユニークな無制限プランを提供しているmineoとトーンモバイルの3社を紹介します。

 

【サブブランド・MVNOの無制限プラン】

会社・サービス名 プラン名

(povoはトッピング名) 月額料金

(povoはトッピング1回の料金) 割引適用時の月額料金 povo データ使い放題(24時間) 330円 ー データ使い放題 7日間×12回分 9834円

(約1か月あたり3278円) ー mineo マイそくプレミアム

(最大3Mbps) 2200円 2145円(※5) マイそくスタンダード

(最大1.5Mbps) 990円 935円(※5) マイそくライト

(最大300kbps) 660円 605円(※5) マイそくスーパーライト

(最大32kbps) 250円 195円(※5) トーンモバイル ー 1100円 ー

※5:「家族割引」または「複数回線割引」適用時。「家族割引」3回線以降は、月165円割引

 

「データ使い放題 7日間×12回分」の使い勝手がいいpovo

↑povoのサイトから

 

povoには従来、1回330円の「データ使い放題(24時間)」がラインアップしています。povoのトッピングは当面、期間満了日の23時59分まで使えるため、実質2日間使用することができます。そのため、このトッピングを2日に1回購入すれば、1か月4950円で使い放題にすることが可能です。

 

一方、今回新たにスタートしたデータ使い放題 7日間×12回分の料金は9834円。1か月あたりにすると3278円となり、これまでよりも安価に使い放題が利用できるようになりました。前述のとおり、この金額は楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」とまったく同じ金額であることは要注目です。

 

こちらのトッピングは購入後即時、1回目の7日間使い放題が適用されます。残りの11回分は、メールで送付されたプリペイドコードを入力することで、そこから7日間の使い放題を都度利用できます。プリペイドコードの入力期限は購入日から160日間なので、好きなタイミングで7日分を使えることが大きな魅力。使用データ量にばらつきがある人にとって最適な無制限プランと言えるでしょう。

 

できるだけコストを抑えたい人にとって選択肢になるmineo「マイそく」

↑mineoのサイトから

 

mineoの料金プランは大きく分けて、月々のデータ容量から選ぶ「マイピタ」と、最大通信速度で選ぶ無制限プラン「マイそく」の2つがあります。

 

マイそくはさらに細かく4つのプランに分けられており、最大3Mbpsの速度が出る「プレミアム」から、最大32kbpsの「スーパーライト」までラインアップしています。最上位のプレミアムでも月額2200円という格安価格なので、できるだけ安価に使い放題環境を作りたい人にとっては、マイそくがファーストチョイスとなるはずです。

 

ただし、安いぶん制限があることに要注意。どのプランも「月〜金曜日の12時台」は32kbpsに速度が制限されます。32kbpsだとテキストの送受信くらいしかできないので、昼休みにインターネットを使う人には不向きです。また、3日間で10GB以上利用した場合も速度制限がかかると明記されています。

 

これらの速度制限を回避するため、1回(24時間)198円で高速データ通信に切り替えられるオプションも販売されていますが、使いすぎると他社より月間コストが高くなるので、計画的な利用が求められます。

 

動画をそこまで見ないならおすすめなトーンモバイル

↑トーンモバイルのサイトから

 

トーンモバイルは、少々変則的な使い放題プランを月額1100円という格安料金で提供しています。このプランの特徴は、動画視聴時は使い放題にならないということ。動画視聴はチケット制となっており、チケット1枚で1GB分の動画を観ることができます。動画チケットは毎月1枚配布され、追加で購入したい場合は1枚(1GB)330円で購入することも可能です。

 

1GBはYouTube(360Pの動画)なら約3時間で上限に達するので、ひんぱんに動画を楽しむ人や高画質で視聴したい人には不向きですが、そうでない人にはおすすめできるプランと言えるでしょう。

 

「速度制限がゆるい通信キャリア」や「カウントフリーオプション」にも注目

「無制限」や「使い放題」ではないものの、うまく使うことで「実質無制限」として使えるプランやオプションも存在します。ここでは、2つの方法を解説します。

 

その1 速度制限がゆるい通信キャリアを選ぶ

多くの通信キャリアの場合、月間のデータ量を超過すると200〜300kbpsまで通信速度が制限されます。この程度の速度の場合、画像の少ないWebページ閲覧やSNS利用程度が限界で、動画を視聴するのは難しいと言えます。

 

一方、速度制限後も1Mbpsの速度が出せることを強みにしているサブブランドやMVNOも存在します。1Mbpsなら低画質の動画を再生することも可能なので、そうしたプランを選んで「実質無制限」として使用することも可能です。

 

なお、下表に速度制限後も1Mbpsのプランをピックアップしましたが、同様のサービスを提供している会社はほかにもあるので、乗り換え先を選ぶときは注目してみるといいでしょう。

 

【速度制限後が1Mbpsのプラン例】

会社・サービス名 プラン名 1Mbpsの速度制限に達するデータ量 月額料金 割引適用時の月額料金 ahamo ahamo 20GB 2970円 ー UQモバイル トクトクプラン 15GB 3465円 2178円(※1) コミコミプラン 20GB 3278円 ー ワイモバイル シンプル2 M 20GB 4015円 2178円(※2) シンプル2 L 30GB 5115円 3278円(※2) LINEMO スマホプラン 20GB 2728円 ー NUROモバイル NEOプラン 20GB 2699円 ー NEOプランW 40GB 3980円 ー J:COMモバイル J:COM MOBILE Aプラン ST/SU 10GB 2178円 ー 20GB 2728円 ー
※6:「自宅セット割」「au PAYカードお支払い割」適用時 ※7:「おうち割光セット(A)」「PayPayカード割」適用時

 

その2 カウントフリーオプションを活用する

特定のアプリで通信をした場合のデータ量がカウントされなくなる「カウントフリーオプション」を活用することも「実質無制限」にする方法のひとつです。

 

カウントフリーオプションはさまざまなMVNOが導入していますが、その多くはLINEやInstagramなどが対象で、そもそものデータ量があまり多くないアプリ・サービスがフリー対象となっています。

 

そんな中で注目したいのが、動画視聴時の通信量カウントがフリーになる「BIGLOBEモバイル」と「LinksMate」のオプションです。

会社名 オプション名 月額料金 対象アプリ例 BIGLOBEモバイル エンタメフリー・オプション 308円 【動画配信】

YouTube、ABEMA、U-NEXT、YouTube Kids

【音楽・ラジオ配信】

YouTube Music、Apple Music、Spotify、radikoなど

【電子書籍配信】

dマガジン、dブック、楽天マガジン、楽天kobo LinksMate カウントフリーオプション(※1) 550円  【動画配信】ABEMA、ニコニコ動画、U-NEXTなど

【ゲーム】

アークナイツ、モンスターストライク、荒野行動など多数

※8: 対象のアプリやゲームの通信量カウントが90%以上OFF

 

BIGLOBEモバイルの「エンタメフリー・オプション」は、月額308円でYouTube、ABEMA、U-NEXTなど動画サイトのほか、音楽配信サービスや電子書籍配信などもカウントフリーにできるオプションです。BIGLOBEモバイルでもっとも安いプランは、月額1078円の「プランS」なので、動画中心に利用している場合、月額1386円という激安価格で「実質無制限」にすることも可能です。

 

また、LinksMateが提供する「カウントフリーオプション」にも要注目。こちらは対象の通信量カウントが90%以上OFFになるという仕組みのため上限が存在しますが、ABEMAやニコニコ動画などの動画サイトに加え、数多くのスマホゲームも対象になることが大きなポイントです。自分がよく利用するアプリ・ゲームが対象なら、乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。

 

以上のほかにも通信キャリアによっては、高速通信と低速通信をスイッチで任意で切り替えることができ、低速時にはデータ量を消費しない仕組みを採用している会社も存在します。この低速モードを多用することで実質無制限プランとして使うことも可能です。

 

月額料金を気にしないのであれば、通信品質や速度が優れた大手通信キャリアの無制限プランを選ぶのが無難です。乗り換える前には、SNSでユーザーの口コミなどもチェックしつつ、プランを選ぶことをおすすめします。