5月29日の所信表明演説では出馬に言及しなかった小池知事(写真・長谷川 新)

 7月7日投開票の東京都知事選の動きが、にわかに慌ただしくなってきた。

立憲民主党蓮舫参院議員が、小池百合子都知事に先んじて出馬表明したことで、テレビの情報番組でも連日、この話題が取り上げられています。蓮舫氏がジャーナリスト・田崎史郎氏を名指しで『取材していない』と言うと、田崎氏が『事務所に電話をしても誰も出ない』と反論するなど、場外戦も熱くなっています」(政治担当記者)

 そうしたなか、5月28日、長友貴樹・調布市長らが、都内52市区町村長による連名の立候補要請文を小池知事に手渡した。これは、都内の全62市区町村の8割超にあたる数だ。長友市長は、記者団に「あくまでも個人の自由意思」と説明している。

 しかし同日、この要請文について、鈴木烈都議(立川市選出・立憲民主党)がXで次のように批判し、波紋を広げている。

《私たちのところにも事前に情報が寄せられていたのですが、これはひどい。小池知事から、都内の市長会、区長会に小池知事宛の出馬要請文に名前を連ねるように、依頼があったそうです。

 ある自治体の市長は、賛同しなかった場合の報復を恐れて、受け入れざるをえないと。まさに踏み絵です。

 昔の自民党選挙みたいなことが今でも行われていることに驚愕。私たちはこういう古い自民党的な小池都政をリセットしたいんです》

 鈴木氏は、本誌の取材に「複数の自治体関係者から『小池都知事から要請があった』と聞いています」として、「踏み絵」についてこう語った。

「要請文に名前を連ねた方のなかには、自ら進んで名前を書いたわけではない首長さんもいらっしゃるそうです。

 というのも、規模が小さい自治体ですと、副市長や部長など幹部クラスを都庁から派遣してもらっていることが少なくありません。そうした方々の引き上げなどの嫌がらせを心配して、『やむをえず』の気持ちで名前を書いた方もいるそうです。

 小池知事がこのようなことを依頼した背景には、やはり『焦り』があるのではないでしょうか。私は、道義的な問題があると思っています」

 紀藤正樹弁護士も29日、Xでこう疑義を呈した。

《選挙で当選したとはいえ、それは相対多数の結果に過ぎず、当該地方自治体の市民にも様々な住民がいることを考えると、ある自治体の長が上位自治体の長や議員に出馬要請をすること自体にも大きな疑問があります》

《この件、仮に出馬要請に市民の税金である自治体の経費、職員を使ったなら、違法支出すら疑われる事態です。調査検証も必要です》

 鈴木氏の同ポストには、

《小池都知事自らが何らかの関与をしていたなら要請自体が「自作自演」ということになる》

《強要にしか思えないのですが》

《立場の関係上、断ることのできない他人を巻き込んで、自分のやりたいことをやろうとするところが東京都っぽいです》

 などのリプライが寄せられていた。29日、小池知事は所信表明をおこなったが、出馬表明はなかった。