人生が停滞する!「長所を活かせ論」の落とし穴とは?
「短所にはある程度目をつぶり、その人の持つ長所を伸ばすことが才能を開花させる近道」というのが近年の人材育成や能力開発の主流になっている。どんな人にも強みがあり、そこにスポットライトを当てることで、自信を持って仕事やスポーツ、学業に臨むことができる、というわけだ。
ただ、才能を伸ばし、それぞれのジャンルで活躍する際に「短所が足を引っ張る」というケースもやはりある。長所に目を向けるべきだが、短所にも向き合うべきだろう。私たちは自分の長所・短所とどう付き合っていけばいいのだろうか。
◾️人は「長所を活かす」だけでは成功できない
誰もが持つ特性と才能を発見し、伸ばしていく方法を解説する『世界一やさしい「才能」の見つけ方 一生ものの自信が手に入る自己理解メソッド』(八木仁平著、KADOKAWA刊)でも、「ヨット」を例にこの「長所・短所問題」を取り上げている。というのも、才能は自分で気付いたり、他人に発見してもらうだけでは不十分なものだからである。その才能を使ってどう生きていくかが大切なのであって、それを考えるためには自ずと「短所をどうするか」という問題に行き着く。
長所とは、言ってみればヨットの「帆」のようなもの。長所が活かせている状態は、ヨットが帆を張った状態であり、人生の推進力になる。そして、短所はヨットの「船底の穴」のようなもの。放置しておくとだんだん船内に水が入って、最後には沈んでしまう。短所は、放置しておくと重大な問題につながる、という示唆である。
◾️日本人の多くは「沈まないが前にも進まない船」に乗っている
これらを踏まえて、長所・短所とどう向き合えばいいのか。まず、「短所だけをカバーし、長所は現状維持」という向き合い方がある。本書によると、多くの人がこの生き方を選択しているという。これは言ってみれば「沈まないが前にも進まないヨット」である。苦手を潰すことばかりに一生懸命になってしまい、「武器」を磨いていないことに心当たりがある人は「長所を伸ばす思考」に切り替えることが必要である。
もう一つは「長所だけを活かして、短所は無視」というもの。先述のように、「長所を活かせ!」というメッセージを間に受けてしまい、それだけを考えてしまう生き方である。ただ、短所を放置しすぎると、いずれ前に進めなくなる時が来る。船内に溜まった水を掻き出す作業が必要になり、長所を活かすどころではなくなってしまう。
具体的には、お金の問題を放置しすぎて金欠で首が回らなくなってしまったり、人間関係を軽視しすぎて頼れる人がいなくなってしまったり、アイデアを思いつくことだけに熱中しすぎて実行が疎かになってしまったり、といったことが考えられる。いずれにしても、あまり効率が良くない生き方だと言える。
「長所を活かしながら、短所をカバーする」。これが、自分の才能を殺さず、自分の才能に殺されずに生きていく最適解である。大事なのは、「短所のカバー」は自分一人でやる必要はないこと。体調管理が苦手だったり、お金の管理が苦手だったりするなら、家族に助けてもらえばいい。短所は「消すこと」を求められているのではなく、問題として表面化しなければいいだけなのだから。
ただ、その際もまずは「長所を活かす」が先にあるべきだとも本書では述べられている。短所のカバーが先に来るとどうしても「沈まないが前にも進まない船」になりやすいものだし、長所を活かすことができれば短所は出にくくなるものだからである。
◇
「才能とは何か」「自分の才能をいかに見つけるか」「才能をどう活かすか」。
本書では、人生を決定づける「才能」をテーマに様々な考察がされ、私たちのキャリアや人生へのアドバイスが綴られている。
どんな人にも特性がある。特性の近くには必ず何らかの才能がある。それを活かすも殺すも自分次第。これからどう生きるかまだ決めかねている若い世代、キャリアチェンジを考えている人、定年後の身の振り方を考えている人など、多くの人に気づきがある一冊だ。
(新刊JP編集部)
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誰もが持つ特性と才能を発見し、伸ばしていく方法を解説する『世界一やさしい「才能」の見つけ方 一生ものの自信が手に入る自己理解メソッド』(八木仁平著、KADOKAWA刊)でも、「ヨット」を例にこの「長所・短所問題」を取り上げている。というのも、才能は自分で気付いたり、他人に発見してもらうだけでは不十分なものだからである。その才能を使ってどう生きていくかが大切なのであって、それを考えるためには自ずと「短所をどうするか」という問題に行き着く。
長所とは、言ってみればヨットの「帆」のようなもの。長所が活かせている状態は、ヨットが帆を張った状態であり、人生の推進力になる。そして、短所はヨットの「船底の穴」のようなもの。放置しておくとだんだん船内に水が入って、最後には沈んでしまう。短所は、放置しておくと重大な問題につながる、という示唆である。
◾️日本人の多くは「沈まないが前にも進まない船」に乗っている
これらを踏まえて、長所・短所とどう向き合えばいいのか。まず、「短所だけをカバーし、長所は現状維持」という向き合い方がある。本書によると、多くの人がこの生き方を選択しているという。これは言ってみれば「沈まないが前にも進まないヨット」である。苦手を潰すことばかりに一生懸命になってしまい、「武器」を磨いていないことに心当たりがある人は「長所を伸ばす思考」に切り替えることが必要である。
もう一つは「長所だけを活かして、短所は無視」というもの。先述のように、「長所を活かせ!」というメッセージを間に受けてしまい、それだけを考えてしまう生き方である。ただ、短所を放置しすぎると、いずれ前に進めなくなる時が来る。船内に溜まった水を掻き出す作業が必要になり、長所を活かすどころではなくなってしまう。
具体的には、お金の問題を放置しすぎて金欠で首が回らなくなってしまったり、人間関係を軽視しすぎて頼れる人がいなくなってしまったり、アイデアを思いつくことだけに熱中しすぎて実行が疎かになってしまったり、といったことが考えられる。いずれにしても、あまり効率が良くない生き方だと言える。
「長所を活かしながら、短所をカバーする」。これが、自分の才能を殺さず、自分の才能に殺されずに生きていく最適解である。大事なのは、「短所のカバー」は自分一人でやる必要はないこと。体調管理が苦手だったり、お金の管理が苦手だったりするなら、家族に助けてもらえばいい。短所は「消すこと」を求められているのではなく、問題として表面化しなければいいだけなのだから。
ただ、その際もまずは「長所を活かす」が先にあるべきだとも本書では述べられている。短所のカバーが先に来るとどうしても「沈まないが前にも進まない船」になりやすいものだし、長所を活かすことができれば短所は出にくくなるものだからである。
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「才能とは何か」「自分の才能をいかに見つけるか」「才能をどう活かすか」。
本書では、人生を決定づける「才能」をテーマに様々な考察がされ、私たちのキャリアや人生へのアドバイスが綴られている。
どんな人にも特性がある。特性の近くには必ず何らかの才能がある。それを活かすも殺すも自分次第。これからどう生きるかまだ決めかねている若い世代、キャリアチェンジを考えている人、定年後の身の振り方を考えている人など、多くの人に気づきがある一冊だ。
(新刊JP編集部)
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