中国でインターネットの規制を行っている中国サイバースペース管理局の研究所が、習近平国家主席の政治哲学に基づいた「安全で信頼できる」大規模言語モデル(LLM)を開発しました。

China’s latest answer to OpenAI is ‘Chat Xi PT’

https://www.ft.com/content/43378c6e-664b-4885-a255-31325d632ee9

Sure, why not: China built a chatbot based on Xi Jinping

https://www.engadget.com/sure-why-not-china-built-a-chatbot-based-on-xi-jinping-155828456.html

China rolls out large language model AI based on Xi Jinping Thought | South China Morning Post

https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3263530/china-rolls-out-large-language-model-based-xi-jinping-thought

ChatGPT, Meet XiGPT: China Unveils New AI Model That Speaks Xi Jinping's Thoughts, Spouts Official Party Line - Benzinga

https://www.benzinga.com/markets/asia/24/05/38956682/chatgpt-meet-xigpt-china-unveils-new-ai-model-that-speaks-xi-jinpings-thoughts-spouts-official-party

中国サイバースペース管理局は生成AIについて、「社会主義の中核的価値観を体現すること」および「国家権力を転覆するコンテンツを含まないこと」を義務づけているため、ChatGPTやGoogle Geminiなど主要な西側のAIモデルを使用することができません。Alibabaなど生成AIのサービスを展開している中国企業は生成されるコンテンツを厳密に制御する必要があり、敏感な話題について質問されるとチャットを停止する仕組みを導入しています。

そうした状況のなか、西側の生成AI技術に追いつくための一手として、中国サイバースペース研究所が新たなLLMをトレーニングしました。

中国のSNSであるWeChatに政府が投稿した内容によると、今回のモデルは習国家主席自身が書いたとされる12冊以上の本など政府の公式見解に沿ったテキストを元にトレーニングが行われており、「習近平新時代中国特色社会主義思想(習近平の新時代における中国の特色ある社会主義思想)」と呼ばれる思想を体現したものとなっています。投稿では「コーパスの専門性と権威が、生成されるコンテンツの専門的な品質を保証する」と述べられています。



モデルは質問に答えたり、レポートの概要を作成したり、情報を要約したり、中国語と英語を翻訳したりするなどの能力があり、幅広いユーザーのニーズを満たすことができるとのこと。また、厳選された知識ベースに基づいて構築されており、クローズドソースであるため「安全で信頼できる」と政府は訴えました。

WeChatの投稿ではデモも掲載されており、AIの回答が中国の公式文書や報道などの一定の情報源から生成されていることが示唆されています。

記事作成時点では、今回の「安全で信頼できる」LLMは中国サイバースペース研究所のサーバーのみに展開されており、招待されたユーザー限定での内部テストが行われているとのことです。