TikTokやInstagramの現役社員にお金を払ってBANされたアカウントを復旧してもらう「pls fix」
SNSのアカウントが凍結された場合、サポートセンターに連絡して復旧してもらうのが一般的ですが、場合によっては時間がかかったりそのまま放置されたりする可能性もあります。そんな場合に、お金を払ってでも特別に対応して欲しい人とSNS企業の社員をマッチングするサイト「pls fix」が公開されました。ただし、「不正行為を依頼」することになるので倫理的にも問題だという声も多く寄せられています。
https://plsfix.co/
pls fixにアクセスすると、以下のように表示されます。
左から順に題名、プラットフォーム、報酬額、投稿日がリスト化されており、「Suck my cock」のような冗談じみた投稿もあれば、Microsoftの社員に向けて「2000年以前の古いHotmail」を復旧して欲しいと依頼するものや、Xのアカウントが凍結されたと訴えるようなものもあります。
よくある質問によると、サポートしている企業はAmazon、Apple、Google、Meta、Microsoft、Snapchat、TikTokの7社とのこと。これらの企業の従業員が、例えばGoogleなら「@google.com」などの個人アドレスを登録すると技術系従業員として認証され、ユーザーは各企業の技術系従業員に依頼と報酬額をリクエストすることができます。
pls fixの管理人は、このサイトを立ち上げた理由について「私はMetaとGoogleで働いていたことがありますが、よくアカウントが停止されたという連絡を受けてアカウントを復旧していました。しかし、偶然そうしてもらった人だけがアカウントを復旧してもらえるのは、少し不公平ではないでしょうか?大企業が何十億人もいるユーザー全員をサポートすることが現実的ではないのは理解していますが、本当にアカウントを復旧してもらう必要がある人には、お金を払ってでも真のサポートを受ける選択肢があるべきです。これが、pls fixを作った理由です」と説明しました。
なお、pls fix上では金銭の授受はできず、あくまで依頼したい人と技術系従業員を結びつけるだけです。そのため、報酬の支払い手段はユーザーが各自で手配する必要があるほか、pls fixは実際に依頼が遂行されることを保証していません。
pls fixの管理人がソーシャルニュースサイト・Hacker Newsでサイトの設立を告知して意見を募ったところ、スレッドには汚職にあたるという意見が多数寄せられました。
例えば、あるHacker Newsユーザーは、GoogleやAppleが本拠を構えるカリフォルニア州の刑法の「雇用主の関知または同意なしに、ある人物の利益のために自らの地位を利用し、その見返り不正に金銭または有価物を受領した従業員、および従業員に金銭または有価物を供与した者は、商業賄賂の罪に問われる」という条文を引用して、ほとんどの地域で犯罪にあたると指摘しています。
なお、チップ文化があるアメリカでは、レストランなどでチップをはずんだ人が他のテーブルの客よりいいサービスを受けることがありますが、これはどうなのかという質問に対しては、雇用主が了解しているため問題ないとの回答がなされています。
また、倫理的な問題やコンプライアンス違反を指摘する投稿や、「違法なコンテンツで凍結されたアカウントが、SNSの社員にお金を握らせて活動を再開するようなことが横行する」と懸念する投稿もあります。
一方で、誤検知に巻き込まれたSNSユーザーへのサポートがずさんなケースなどもあることから、「ソーシャルメディアでの処分がいかに恣意(しい)的かを踏まえると、私にはこのサイトが『時代』の兆候のように思えます」と述べる投稿もありました。