EUの欧州評議会で、人工知能(AI)法が加盟国に承認され、成立しました。この法律は、欧州市場全体で民間および公的組織による安全で信頼できるAIシステムの開発と導入を促進することを目的としており、EU国民の基本的権利を尊重しながらAIへの投資とイノベーションを刺激することを目指したものとなっています。

Artificial intelligence (AI) act: Council gives final green light to the first worldwide rules on AI - Consilium

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2024/05/21/artificial-intelligence-ai-act-council-gives-final-green-light-to-the-first-worldwide-rules-on-ai/

AI法案はおよそ3年近くかけて検討され、2024年3月に行われた欧州議会による承認投票の結果、賛成多数で可決されました。

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今回、ついに加盟国の担当閣僚による承認を受け、正式にAI法が成立したというわけです。



このAI法は2021年に欧州委員会が提出した素案をもとにしたもので、AIの潜在的なリスクと影響レベルに基づいて、AIに対する義務を定めるものです。

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例えば、認知行動操作やソーシャルスコアリングのようなAIシステムは、そのリスクが容認できないとみなされるため、EUからの参入が禁止されます。また、プロファイリングからの予測に基づく取り締まりや、人種・宗教・性的指向などの特定のカテゴリーに従って人々を分類するようなAIの使用も禁止されます。

さらにAI法を適切に執行するため、欧州委員会直下の「AIオフィス」や、独立した専門家から構成される委員会、加盟国の代表者を含むAI委員会、AI委員会や欧州委員会に技術的専門知識を提供する諮問会などが設立される予定です。

加えて、AI法に違反した場合は罰金が科せられます。その額は最大で3500万ユーロ(約59億4000万円)、あるいは違反企業の前会計年度における全世界の年間売上高の7%で、どちらか高い方が適用されるとのこと。



AI法の成立は欧州議会および欧州理事会の議長の署名を経て、2024年5月中にEUの官報に掲載されるとのこと。そして、この掲載から20日後に施行される予定となっています。規制については、特定の規制を除き、施行から2年後に適用されます。

ベルギーのマシュー・ミチェル国務長官は「AI法の採択は、EUにとって重要なマイルストーンです。AI法はこの種の法律としては世界初となる画期的なもので、世界的な技術的課題に対処するものであり、同時に我々の社会と経済に機会を創出するものでもあります。AI法によって新技術を扱う際の信頼性、透明性、説明責任の重要性が強調されると同時に、この急速に変化する技術が繁栄し、欧州の技術革新を後押しできるようになります」とコメントしました。