草剛さんインタビュー「ヴィンテージの魅力は時間を重ねてにじみ出る〈いいカンジ〉。僕自身もそんな俳優になりたい」
里中満智子さんインタビュー「「幸せってだれかにかなえてもらうものじゃない。ヒロインの生き方を通し、それを伝えたかった」」
俳優・歌手 草磲 剛さん
くさなぎ つよし/1974年、埼玉県生まれ。91年CDデビュー。ドラマ、映画、舞台、バラエティなど幅広く活躍。2020年映画「ミッドナイトスワン」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞。23年テレビドラマ「罠の戦争」主演、連続テレビ小説「ブギウギ」に出演。草磲 剛(新しい地図PROFILE) X(Twitter) Instagram
時間を重ねてにじみ出てくる
ヴィンテージの味わいが好き。
僕自身もこの先
ヴィンテージの魅力をめざしたいですね
「ワンカット、ワンカット、監督が魂をこめるようにていねいに撮っているのを感じましたね」
来月公開の主演映画「碁盤斬り」の撮影現場をそう振り返る草磲剛さん。詩情豊かな景色をバックに、浪人・柳田格之進のストイックな生きざまが描かれていきます。
「碁盤とか碁石を打つ指先とか、こんな角度から撮るんだぁ、と驚きつつ、監督のグルーヴに乗せられているうちに、楽しく撮影が終わっていた感じです。碁盤から相手のあせりや余裕、人格さえおぼろげにわかってくる囲碁。おもしろい世界だなぁと感じましたね」
清廉潔白で頑固。武士の矜持を秘めた、静謐な風格。故郷・彦根藩で冤罪を被り、娘と江戸に流れてきた柳田を演じた草磲さんですが、じつはその性格や考え方には、まったく共感できなかったそう。
「武士の誇りだか何だか知らないけど、娘を不幸にするなよ、って腹が立っちゃって。どうしてそんなに意固地なんだ⁉ と。彼への怒りや反発が、かえって演じるエネルギーになり、緊迫感や陰影を生んだのかもしれません」
自分とかけ離れたキャラも、役となれば魅力的な人物に見せたい。
「現代の感覚では理解しがたくても、柳田格之進が大切にしたその時代の美徳や譲れない価値観を代弁する思いをこめて演じました」
長屋でつつましく暮らす前半から一転、後半は因縁の相手・柴田兵庫(斎藤工)を捜して旅する復讐劇へ。柳田の気迫に圧倒されます。
「撮影は楽しかった記憶しかなくて、試写を見たとき〈こんなすごいことをやっていたんだ〉って、自分でもびっくりしちゃいました(笑)」
苦渋を知る役柄の格好よさは、お好きなヴィンテージと重なったそう。
「デニムもギターも、ヴィンテージの魅力は、時間を重ねたことでにじみ出てくる〈いいカンジ〉。僕自身も、ヴィンテージの味わいがある俳優になれたら素敵ですよね」
「子どものころから、きんぴらとかふきのとうとか、自然で素朴な味が好きで。素材を楽しむ料理で育ててくれた両親に感謝しています。最近、あっさりした鶏だんごスープをよく作っているんですよ」
草磲剛さんイチオシ!
愛犬・クルミちゃん(フレンチブルドッグ 8歳)
朝のお散歩で心身がクリアに
フレンチブルドッグは、10 歳で長生きといわれる犬種。「大げさじゃなく、いまは一日一日、クルミちゃんとの時間を大切にしたいし、そうすることで僕も幸せになれるんですよね。お散歩は朝が好きかな。頭がクリアになって、一日の行動をいろいろ考えられるんです」。
これに注目!
「碁盤斬り」
5月17日(金)より全国ロードショー
監督/白石和彌 出演/草磲 剛、清原果耶、中川大志、市村正親、斎藤 工、小泉今日子、國村 隼
江戸の貧乏長屋に娘・お絹(清原果耶)と暮らしている実直な浪人・柳田格之進(草磲剛)。故郷・彦根藩を追われた冤罪の真相を知った直後、折悪しく、碁を通して親交のあった商人・萬屋源兵衛(國村隼)との関係に亀裂が生じる出来事が……。武士の誇り、父娘の絆、疑心がからみ合い、物語はクライマックスへ。「碁」を介した人間模様と江戸情緒を鮮やかに描いた感動作。
(『オレンジページ』2024年5月2日号より)
撮影/鈴木康史 取材・文/待本里菜 ヘア&メイク/荒川英亮 スタイリング/細見佳代(ZEN creative)
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