竹俣 紅連載:『紅色の左馬』第16回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、竹俣紅アナウンサーの連載『紅色の左馬』。今回は、番組MCになって1年、その間における競馬と自身との関わりあいの変化や、競馬に対する思いなどを改めて聞いた――。

『みんなのKEIBA』のMCとなって、1年。「まだ1年なんだな」というのが、率直な感想です。

 競馬の勉強ノートも、現在3冊目。1年前のページを見返すと、まだこのくらいのことまでしか知らなかったんだなぁと、微笑ましい気持ちになります。

『みんなのKEIBA』公式チャンネルでアップされている私の予想YouTubeに、「スタッフが台本を用意している」といったようなコメントがくることがありますが、スタッフさんは用意してくれません(笑)。自分で作った台本でお話ししています。

 1年前、競馬の世界をまったく知らない自分が、競馬番組を担当することに。早く詳しくなりたい......そこで、私が考えついた効率のいい勉強法は、"専門用語に出くわす機会を自ら増やす"ということでした。

 たとえば、過去のレース映像を見るとします。

 実況アナウンサーの方がおっしゃっている専門用語を調べるのはもちろん、そのレースの内容を振り返っている記事(レース名と「回顧」と検索すると、競馬記者の方の記事や、一般の方のブログなどが出てきます。大変ありがたいです)を読みます。

 そうすると、自分がわからない専門用語にまた出くわしますよね。その用語の意味を調べることで語彙が増えて、その記事に書かれている内容も理解できます。

 それを踏まえて、もう一度レース映像を見ると......このときこんなことが起きていたのか! と、最初に見たときとは把握できるものがまったく違うのです。

 このような、語学に近いような勉強の仕方のおかげで、短い期間でたくさんの専門用語の意味を知ることができ、使いこなせるようになりました。

 言葉を知ると、それだけ得られる情報も多くなりますから、データだけでなく、展開や血統、ラップタイムと、どんどん学びを深められたわけです。

 また、この勉強の仕方のよかったところは、語彙を増やすということだけではなかったなと思います。

 過去のレースをなんとなく見るだけではなく、そのとき何が起きて、どうしてこの結果になったのかを知ることで、驚きや感動を味わい、楽しむことができました。

 リアルタイムでレースを見ることができたのはまだ1年ですが、こんなふうにレース映像を振り返ると、昔から競馬を楽しんでいるような気分になれます。

 競馬を始めたばかりという方に、ぜひ試してみていただきたいです!

 予想においては、考える指標が増えることで難航する、という面もありますが、いろいろな要素を考えることで、何十倍も競馬を楽しめていると思います。

 自分が予想したレースに出走していた馬、特に予想で挙げた馬は、たいてい次走もチェックします。予想したことによって、それぞれの馬のコース適性や、ここに至るまでの臨戦過程を把握できているわけですから、その馬にとって条件がよくなっているかどうかを考えます。

「直線の長い今回はいけるんじゃないか」とか、「距離が延びていいんじゃないか」とか、そういった点をチェックすることによって、次走で予想が当たる場合も多いです。そういう楽しみ方ができるようになったのも、この1年の成長でしょうか。

 私の日常に組み込まれているのは、レースの予想だけではありません。

 たとえば、自分が応援していた馬が、全力で走ってくれたレースの翌日に「カイバを完食した」というニュース記事を見てホッとしたり、引退したお馬さんの近況をチェックして、健康・長寿を祈ったり......。

 自分の好きな馬が頑張っている姿や、元気に過ごしている姿を見て、幸せを感じる。1年前の自分の日常とは大きく変わりました。

 最近、「好きな馬は何ですか」と聞かれることがしばしばあるのですが、この1年で本当に多くの魅力的な馬たちに出会ってきたので、1頭だけを選ぶのは難しい......。

 まず思い浮かぶのは、ジャックドール。『みんなのKEIBA』の担当になって、初回の本命予想(大阪杯)で当てることができた馬なので、思い入れがあります。

 毛色で言えば、ジャックドールやシンエンペラーのような、栗毛でたてがみの色が少し明るい馬たちがお気に入りです。

 また、タスティエーラのように、額に流星がある馬もかっこいいですよね。イクイノックスの白い鼻も特徴的で、最後の直線で白い鼻が見えた瞬間、世界最強馬がここからすべての馬を抜き去っていく! というオーラを感じます。

 それから、1勝クラスのときからその魅力的な末脚に注目していたスウィープフィート。黄色いシャドーロールをつけているのもかわいいんですよね。まるでバナナを乗せているみたい。

 その"バナナ"は遠目にもわかりやすいので、レースのときはスウィープフィートが何枠であろうと、「黄色が来た!」と思いながら見ています。

 加えて、ボッケリーニもずっと応援している一頭です。

 昨年の鳴尾記念で初めて知って、本命にしたのがこの馬。他の馬たちの力が削がれるような、渋った馬場に強いのも魅力です。

 鳴尾記念の時に7歳だったボッケリーニも、今年で8歳。年齢のせいなのか、最近は特に最後の直線でソラを使うようになっていて、よくみると、お客さんのほうを向いて走っていることも......。

 前走の日経賞ではそのせいもあって最後に抜かれてしまいましたが、そこもボッケリーニのかわいらしさ。できればレースでの勇姿を長く見られたら、そしていつまでも元気で暮らしてくれたらと思っています。

 それでは、今週も一緒にレースを楽しみましょう!

 すべての馬・騎手の皆さんが無事にレースを終えられますように。

Profile
竹俣 紅(たけまた・べに)
1998年6月27日生まれ。東京都出身。2021年フジテレビ入社。
趣味:おいしいおそば屋さん巡り ウォーキング ガチャピン
モットー:元気に、地道に、前向きに

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