【中日】12年ぶりの3戦連続完封勝利 見逃せない「捕手の活躍」

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2位につける立浪中日。3連続完封には加藤匠の存在が大きかった(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 12年ぶりの3戦連続完封勝利を達成ーー。中日が敵地・マツダスタジアムでの広島3連戦で快挙を成し遂げ、ホットな状態になっている。「守り勝つ野球」を標榜する立浪和義監督も長いシーズンを戦う上で手応えをつかんだのではないか。

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 3戦続けて相手打線を無得点に抑えたのは、もちろん投手陣の頑張りに寄るところが大きいが、捕手の活躍も見逃せない。

 第1戦と第2戦は加藤匠馬、第3戦は宇佐見真吾が先発出場。それぞれが持ち味を発揮して、無失点のバトンをつなぎ続けた。

■加藤匠馬の躍動なくして3連勝なし

 特筆すべきは加藤匠の躍動だ。

 今となっては申し訳ない気持ちしかないが、5日の第1戦、加藤匠のスタメン入りを知った時は正直大丈夫か…? という思いがなかったわけではない。

「爆肩」「加藤バズーカ」と称される肩の強さに定評がある一方、ブロッキングやキャッチングには課題を残すというのが、評論家やファンの共通認識だろう。打撃はキャリア通算で打率1割台、本塁打もロッテ時代の2021年に2本放ったのみと、非力さが目立つ。今季も第3捕手の扱いでスタートしており、開幕2カードで2試合出場、打席機会はわずか1度のみ。プロ10年目で経験を積んできているとはいえ、試合勘の部分では不安もあった。

 それが突然の抜擢である。しかもバッテリーを組むのは開幕投手・柳裕也。プレッシャーもあったと思うが、見事に柳を今季初勝利に導いた。立ち上がりの盗塁阻止や終盤のバント処理でピンチの芽を摘み取り、バットでは中日復帰後初めてのヒットとなる三塁打。攻守で存在感を示した。

 翌日の第2戦は先発・涌井秀章をはじめ4人の投手を好リード。打っては2試合連続安打に、四球を選んでダメ押しのホームを踏む活躍。途中出場となった第3戦でも、齋藤綱記の投じたワンバウンドのスライダーを右脇で止めたり、同点を許しそうな場面で本塁タッチアウトを冷静に行うなど、抑え捕手としての役割を十二分に果たした。

 今回の3連戦3連勝、一番の立役者は加藤匠で決まりだ。

■打撃の宇佐見、復調待たれる木下

 第3戦で先発マスクを被った宇佐見は勝負強い打撃が持ち味。その打撃力を活かすために一塁手や代打のオプションもこなしている。この日も先発のウンベルト・メヒアを巧みにリードしつつ、5回の先制機には左中間へ適時二塁打。両軍唯一の得点をもたらした。

 ここまではメヒア先発時のみスタメンを張っているが、打席に立たせればある程度打つのは昨季で証明済み(※8月には月間3度のサヨナラ打をマーク)。ベンチに置き続けるにはもったいない選手である。

 奮起が待たれるのが木下拓哉だ。捕手としては大野雄大の復帰勝利を演出(4月3日の巨人戦)した一方、開幕から打撃不振が深刻で17打席ノーヒットが続いている。今回の広島戦は代打で1度打席に立ったのみ。スタメンで出ていても終盤に代打を送られる機会が複数回見られ、現状は厳しいシーズンとなっている。

 それでも長いシーズンには木下の存在は必要。攻守の総合力の高さはチーム内で群を抜いており、本来の力を発揮すればリーグ屈指の捕手なのだ。2020年以降、4シーズンにわたりドラゴンズの正捕手を担ってきた意地もあるだろう。一つずつ良いプレーを積み重ねていって、再び首脳陣の信頼を勝ち取りたい。

 石橋康太など若手の台頭に期待したいところもあるし、小田幸平バッテリーコーチを含めた「捕手力」で上位進出を狙っていくのが今季のドラゴンズだ。

[文:尾張初]